前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、前日比180円超の下落で始まった日経平均株価がプラス圏まで反発し、160円超まで上げ幅を拡大したことからドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、終盤にかけて株価が上値の重い動きが続いたことから、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなった。欧州時間には、欧州主要株価指数が堅調な展開となったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、新型コロナウイルスの影響でEU加盟国の一部が景気後退に陥るとの懸念からユーロ売りが広がるなど、序盤から投資家のリスク回避による円買いが先行した。しかし、欧米の主要株価指数が軒並み大幅上昇となったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米経済指標がまずまずの結果となったことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は底固い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きが続き、終盤に前日比1184ドル高まで上昇した。高値圏のまま1173ドル高で終了し、上げ幅は過去2番目の大きさで、6営業日ぶりに27000ドルを回復した。一方、ハイテク株中心のナスダックは334ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外時間での米国の緊急利下げを受けて、序盤のドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、一時106.85まで下落し、昨年10/8以来の安値を付けた。その後、日経平均株価が前日比185円安で始まったものの、早々にプラス圏に回復して上げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は、一時107.52まで上昇した。
(2)ある程度想定されていたが、2月の中国サービス部門のPMIが26.5(前月51.8)に大幅低下となったことに加え、日経平均株価が上値の重い動きが続いたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。ただ、その中で実需の円売り観測や米株価先物が上昇していたこともあり、一段の上昇となる場面もあった。
(3)米国市場では、G7の協調姿勢を背景に、FRBやカナダ中銀が利下げを決定する中で、新型コロナウイルスの影響でEU加盟国の一部が景気後退に陥るとの懸念からユーロ売りが広がるなど、序盤から投資家のリスク回避による円買いが優勢となった。ユーロは欧州時間から主要通貨に対して軟調な動きとなり、特に対ドルでは9営業日ぶりに反落となった。
(4)欧州主要株価指数の上昇を受けて、米主要株価指数が軒並み上昇して始まったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、2月の米非製造業景況指数が2019年2月以来1年ぶりの高水準となったことや、米10年債利回りが0.950%から1.061%まで上昇したこともあり、ドル/円は序盤の安値の107.15から、107.54まで上昇した。一方、英中銀のベイリー次期総裁がウイルス問題への協調的な対応を示唆したことに加え、EU関係者が英国との貿易交渉は順調に始まったと明らかにしたことが好感され、ポンドはドルや円などの主要通貨に対して堅調な動きとなった。
本日のトピックス
EU加盟国の一部が景気後退に陥るとの懸念からユーロは軟調な動きとなっており、特に上昇が続いていた対ドルで下落したことから、ここからの動きが注目される。下値のポイントとされる1.1096を維持できるのかどうかが目先注目されている。
一方、昨日発表された2月の米ADP雇用統計では、市場予想を上回る結果となったものの、前月の結果が8.2万人下方修正(+29.1万人⇒+20.9万人)されたことから、実質ベースの伸びは鈍化(+18.3万人 − 8.2万人 = +10.1万人)した。週末に発表予定の米雇用統計とは計算方法の違いから直接的な相関関係はないとされているが、米雇用統計の結果を予想する上で参考にされることから、週末の結果発表に注目が集まっている。
本日の米国市場では、チャレンジャー人員削減数、非農業部門労働生産性、新規失業保険申請件数など雇用に関連する経済指標の発表が予定されているが、ADPの冴えない結果もあり、雇用関連の指標結果が通常以上に注目されている。
マーケットでは、各国の金融政策や不安定な株価動向が注目されており、週末の米雇用統計もやや注目が薄れている。ただ、17-18日のFOMCでの追加利下げの有無を見極める上で雇用統計は一つの材料となることから、徐々に注目も高まるだろう。ドル/円は、4日の朝方に付けた106.85が下値のポイントと考えられるが、その後は107円台前半で底固い動きが続いていることから、107円台を維持できるのか、上は108円台乗せとなるのかが注目されている。
3/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
1月製造業受注指数(前月比)
製造業新規受注は、米国の製造業の新規受注など受注関連を集計した経済指標であり、設備投資などの先行指標とされている。特に振幅の大きい航空機を除いた非国防資本財受注が注目されることもある。
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-0.1% | 1.8% |
前回は市場予想を上回り、2018年8月以来の高い伸びとなった。耐久財や資本財が前月のマイナスからプラスに大きく伸びたことが押し上げ要因となった。今回は、前回の反動でマイナスが予想されているものの、変動の大きな輸送機器(特に航空機)の低下が影響する可能性が予想されることから、輸送機器を除いた指数に注目したい。 |