前営業日トピックス
東京市場では、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が燻っており、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が前日比100円超の下落となったことも圧迫要因となった。しかし、下落して始まった上海総合指数が、中国が市場安定化策を打ち出したことで上昇に転じたことや、日経平均株価もプラス圏まで上昇し、上げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米国市場では、中国が流動性供給などの市場安定化策を好感し、新型コロナウイルス拡大に伴う経済への影響が和らぐとの見方が広がったことを受けて、米主要株価が軒並み大幅上昇となり、リスク回避の動きが後退したことで、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、12月の米製造業受注が市場予想上回り、1年4ヵ月ぶりの大きな伸びとなったことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は109.54まで上昇し、1/24以来の高値となった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比505ドル高まで上昇した。その後は下げ幅を縮小したものの、407ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは一時211ポイント高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。その後、やや上げ幅を縮小したものの194ポイント高で終了し、終値ベースの最高値も更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新型コロナウイルスの感染拡大を見極めたいとの思惑に加え、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比で117円安となったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、仲値公示近辺では実需のドル買い・円売りが観測され、一時的にドル円・クロス円は上昇したものの、上昇は一時的でまもなく反落した。
(2)上海総合株価指数が昨年2/13以来の安値で寄り付いた後、切り返して反発したことや、日経平均株価がプラス圏まで反発し、上げ幅を拡大したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。一方、オーストラリア中銀は、政策金利の据え置きを決定したが、一部で利下げを予想する向きがあったことから、豪ドル買いに反応し、豪ドル/円は直前安値の72.61から73.15まで上昇した。その後、日経平均株価が112円高まで上昇して引けたことや、米株価先物の上昇も加わり、ドル/円は前日の海外市場の高値である108.80を上抜けて、108.94まで上昇した。
(3)米国市場では、アジア市場から続く堅調な流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。中国が市場安定化策を打ち出したことで、新型コロナウイルス拡大に伴う経済への影響が和らぐとの見方が広がっており、米主要株価が軒並み大幅上昇となり、リスク回避の動きが後退したことで、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。さらに、12月の米製造業受注が市場予想上回り、1年4ヵ月ぶりの大きな伸びとなったことや、米10年債利回りが1.573%から1.614%まで上昇したことも加わり、ドル/円は109.54まで上昇し、1/24以来の高値となった。また、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、新型コロナウイルス感染拡大の米経済への影響は最小限にとどまるとしたうえ、中国での工場の操業停止は米国での生産に拍車をかける可能性もあるとの見解を示したことも、株価の下支えとなった。
本日のトピックス
マーケットでは、新型コロナウイルスに関する報道にもやや新鮮味が薄れており、中国の流動性供給などにより、経済への影響は和らぐとの見方も広がっており、主要な株価指数が反発するなどリスク回避の動きがやや後退している。状況が悪化する事態とならなければ、沈静化に向けた動きになるとの見方もあるが、引き続き状況を見極めたい。その中で、週末に米雇用統計を控えていることもあり、マーケットの注目が経済指標の結果に移る可能性も考えられる。
米国時間には、1月のADP雇用統計、12月の貿易収支、1月のISM非製造業景況指数の発表が予定されている。それぞれ注目度の高い経済指標であることから、敏感に反応する可能性も考えられる。
さらに、1/24以来の高値まで戻しているドル/円が110円台を目指した動きとなるのか、また史上最高値を更新したナスダックをはじめ、米主要株価指数がさらに上昇する動きとなるのかどうかも注目される。
2/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
1月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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+15.8万人 | +20.2万人 |
前回は市場予想を大きく上回り、2019年4月以来8ヵ月ぶりに+20万人を上回った。建設業が8ヵ月ぶりの大幅な伸びとなったことや、サービス業が前月から倍増したことが影響した。今回は、前回から伸び幅の低下が予想されているが、昨年1年間の平均である16.3を下回るのか注目される。 | ||||
22:30 | 米国 |
12月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-481億USD | -431億USD |
前回は、赤字額が3ヵ月連続で減少となり、2016年10月以来の水準まで縮小した。輸出が拡大する一方、対中関税の影響で輸入が2017年以来の低水準となったことが影響した。12月に米中通商協議の第1段階が合意したことで、関税引き上げが見送られたことから、中国からの輸入が増えたことが予想され、今回は赤字額の拡大が予想されている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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55.1 | 55.0 |
前回は、市場予想を上回り、2019年8月以来の高い伸びとなった。景況指数や輸入が増加したものの、新規受注や雇用が低下した。今回は、前回から若干の上昇が予想されており、予想通りの結果となり、2ヵ月連続の上昇となる場合には2018年9月以来となることから注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
週足ベースのポンド/円は、200週移動平均線近辺で上値が抑えられる展開が続いており、126.544からのトレンドラインも完全に下抜けていることや、オシレーターのMACDで両線がクロスしていることから、軟調な動きを示唆する形状となっています。ここから一段の下げとなるのか、底固い動きが続くのか注目されます。
目先の下値ポイントは140.811、ここを下抜ける場合には、一目均衡表の雲上限ラインの138.125、基準線の137.247を目指す展開も予測されます。
一方、上値のポイントは、200週移動平均の143.085近辺、ここを上抜ける場合には144.606が次の上値のポイントと考えられます。