前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は上値の重い展開で始まった。さらに、日経平均株価が下落して始まり、前日比480円超の下落となるなど、アジア株が軒並み大幅下落したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。欧州市場では、英中銀の政策金利発表で金利据え置きが決定されたことを受けて、ポンドは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、下落して始まった米主要株価指数が下げ幅を縮小したことや、米国債利回りの上昇もあり、序盤のドル/円は一時109.01まで上昇した。その後、米国で初めて人から人への新型コロナウイルスの感染が確認された報道を受けて、リスク回避の動きが強まり、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は108.59まで下落し、1/8以来の安値を更新した。その後、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスについて「国際的な緊急事態」を宣言したものの、渡航制限勧告を見合わせたことから、過度な懸念が和らぎ、米主要株価指数がプラス圏まで反発し、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比244ドル安まで下落した。その後は堅調な動きが続き、終盤には145ドル高まで上昇、124ドル高で終了して3営業日続伸。一方、ハイテク株中心のナスダックは23ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)パウエルFRB議長が会見で、新型コロナウイルスの感染拡大よる中国や世界経済の影響に言及したことなどを受けて、前日の海外市場でドル円・クロス円の軟調地合いを引き継ぎ、東京市場でも序盤から上値の重い動きとなった。序盤は109円台を維持していたが、日経平均株価が下落して始まったことを受けて109円台割れとなった。
(2)WHOが緊急委員会の会合をあらためて開き、公衆衛生上の緊急事態に当たるかどうかを話し合うことが予定されており、緊急事態が宣言されることにより、リスク回避の動きが強まるとの懸念も圧迫要因となった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大し、前日比480円超の下落となったほか、香港ハンセン指数も2%超下げたこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.589%から1.558%まで低下したことも加わり、ドル/円は108.81まで下落した。
(3)下落して始まった欧州主要株価指数が下げ幅を縮小する、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。一方、英中銀のMPC(金融政策委員会)は、7対2で政策金利の据え置きを決定した。利下げを支持するメンバーが増えるとの見方があったこともあり、ポンドは主要通貨に対して上昇し、ポンド/円は、直前の141.77から142.71まで上昇した。ただ、GDP成長率予測を引き下げ、インフレ率は2021年末まで目標値を回復しないと予想するなど、利下げが近く必要になる可能性も示唆した。米国市場では、序盤に発表された米GDP速報値が市場予想を上回ったものの、GDPの約7割を占める個人消費が予想以上に低下したことから、ドルはやや上値の重い動きとなった。その後、下落して始まった米主要株価指数が下げ幅を縮小したことや、米国債利回りが上昇したこともあり、ドル/円は一時109.01まで上昇した。
(4)米国で初めて新型コロナウイルスが人から人への感染が確認されたとの報道を受けて、投資家のリスク回避の動きが意識され、ダウ平均株価が一時240ドル超の下落となるなど、米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大し、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。さらに、米長期金利の指標となる米10年債利回りが1.582%から1.532%まで低下し、昨年10/9以来の低水準を更新したことから、ドル/円は108.59まで下落し、1/8以来の安値を更新した。
(5)WHO(世界保健機関)が、新型コロナウイルスについて「国際的な緊急事態」を宣言したものの、渡航制限勧告を見合わせたことから、過度な懸念が和らいだとの見方が広がり、米主要株価指数が軒並みプラス圏まで上昇し、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。ドル/円は、終盤にかけて108.98まで上昇した。
本日のトピックス
新型コロナウイルスに関しては、過度な懸念が和らぐとの見方から、海外市場終盤にかけて主要株価指数やドル円・クロス円は堅調な動きとなった。東京市場でも、ドル円が序盤から109円台に回復しており、日経平均株価も一時400円超の上昇となっている。依然として感染拡大に対する懸念は残っているものの、この流れが続くのか注目される。その中で、本日の欧州市場では、フランスやユーロ圏のGDP、ドイツの小売売上高、米国市場ではPCEデフレーター、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されている。マーケットでは依然として新型コロナウイルスに関する報道などに関心が強いことから、市場予想から乖離する結果とならなければ、反応は限定的だろう。
1/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:45 | 米国 |
1月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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49.0 | 48.9 |
前回は、市場予想を上回る結果となったが、景気の後退傾向と判断される50を6ヵ月連続で下回っている。今回は、前回結果を若干上回ると見られているが、引き続き50割れが続くと見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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99.1 | 99.1 |
前回の速報値では、市場予想と一致し、先行きの景況感が低下したものの、現在の景況感が上昇したことが影響した。今回の確報値では、横ばいが予想されているものの、昨年5月以来の100台に乗せるかどうかに注目したい。 |