前営業日トピックス
東京市場では、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大世界経済に悪影響を与えるとの警戒感が広がったことを背景に、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが先行した。さらに、日経平均株価が下落したことやが、香港、上海株が大幅下落となったことも投資家心理を冷やし、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感や、米国務省が中国への渡航警戒レベルを引き上げたことを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。その後、ECB理事会後のラガルド総裁の会見での発言がハト派的と受け取られて、ユーロが対円などで下落となり、ドル/円やユーロ以外のクロス円も軟調な動きとなった。しかし、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスに関して非常事態の宣言を見送ったことを受けてリスク回避の動きが和らぎ、ドル円・クロス円は値を戻した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、前日比219ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小し、一時プラス圏まで上昇する場面もあったが、結局26ドル安で終了し3営業日続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは18ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に悪影響を与える可能性があるとの警戒感からリスク回避ムードも強まっており、序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比250円超の下落となったことも圧迫要因となった。一方、豪州雇用統計では、失業率が昨年3月以来の低水準に改善したことや、就業者数が予想を上回ったことが好感され、豪ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。豪ドル/円は、75.02から75.49まで上昇したが、フルタイムの就業者数は減少し、賃金の伸びも低いままだったこともあり、上昇一服後は上値の重い動きとなった。
(2)下げ幅を縮小していた日経平均株価が午後に入り、再び上値の重い動きとなったことや、香港ハンセン指数や上海総合が1.5%超の下落となったことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。さらに、米10年債利回りが1.763%から1.742%まで低下し、昨年12/3以来の低水準となったことも影響し、ドル/円は109.50まで下落した。
(3)新型コロナウイルスの感染がシンガポールで報告されたことや、米国務省が中国への渡航警戒レベルを引き上げたことを受けて、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、ECB理事会後のラガルド総裁の会見で、「経済指標はECBの基本シナリオに一致」、「基調的インフレに緩やかな上昇の兆し」との発言を受けてユーロ買いとなり、ユーロ/円は121.47から121.74まで上昇、ユーロ/ドルは1.1090から1.1109まで上昇。しかし、その後「成長見通しのリスクは依然下向き」、「極めて緩和的な政策姿勢が長期にわたり必要」と発言したことがハト派的と受け取られ、ユーロ/円は120.64まで下落して1/8以来の安値、ユーロ/ドルは1.1036まで下落して12/2以来の安値となった。ドル/円は、ユーロの下落に加え、米10年債利回りが1.749%から1.711%まで低下したことも影響し、109.61から109.27まで下落、ユーロ以外のクロス円も軟調な動きとなった。
(4)WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスに関して非常事態宣言を見送ったことを受けてリスク回避の動きが和らぎ、さらに大幅下落となっていたダウ平均株価が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は値を戻した。
本日のトピックス
本日から中国では春節となり、中国国内や中国から海外に向けて人の動きが活発になることから、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大の可能性が懸念されている。米国務省は中国への渡航警戒レベルを引き上げており、日本でも外務省が武漢市に対する危機レベルを第1段階(十分注意してください)から第2段階(不要不急の渡航は止めてください)に引き上げるなど、警戒が強まっている。ただ、WHOが非常事態の宣言を見送ったことことで、リスク回避の動きが和らいでいるが、今後の状況次第で展開が変わる可能性も考えられることから、関連する報道などには注意も必要だろう。
米国市場では、主要な経済指標の発表がないものの、このところの相場の牽引役となっている米主要株価指数の動きには注目したい。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、週足チャートでは、重要な下値のポイントだった200週移動平均と一目均衡表の雲上限ラインを下抜けています。来週までに再び上記のポイントを上抜けるかどうかが注目されます(2週ルール)。再び上抜けない場合には、一旦軟調な動きとなる可能性も考えられます。来週の200週移動平均は109.65近辺、一目均衡表の雲上限ラインは109.739となります。
日足チャートでは、一目均衡表の転換線を下抜けており、ここから一段の下げとなるのか、底固い動きとなるのか注目されます。オシレーターのMACDでは、両線がクロスしており、軟調な展開を示唆する形状となっています。
下値のポイントは、(1)109.268(前日安値) (2)109.026(一目均衡表の雲上限ライン) (3)108.968(一目均衡表の基準線)。一方、上値のポイントは109.776(一目均衡表の転換線)となります。