前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の堅調な流れが一服し、小動きの展開で始まった。海外の主要なイベントを控えて様子見ムードが強まる中、株式市場でも小動きが続いたこともあり、ドル円・クロス円は序盤から狭いレンジ内の動きが続いた。
米国市場では、米中交渉担当者が12/15の関税発動の見送りを計画しているとの報道を受けて、ドル/円は一時108.77まで上昇したものの、その後クドロー米国家経済会議委員長が関税発動の計画は承知していないとしたことから、上値の重い動きが続いた。しかし、マーケットでは楽観的な見方も根強く、NY株式市場が小幅安の下落に留まったこともあって、ドル円・クロス円は終盤まで底固い動きが続いた。米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比105ドル安まで下落した。その後、39ドル高まで反発したものの、上値の重い動きが続き27ドル安で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、5ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な動きが一服し、序盤のドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、日経平均株価が、前日比93円安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小して一時プラス圏まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(2)米中の制裁関税の発動が12/15に迫っているほか、FOMCの結果発表、ECB理事会を控えて、為替市場だけでなく、株式市場でも小動きの展開が続き、金融マーケットは全般的に様子見ムードが広がる中で、ドル円・クロス円も狭いレンジ内の動きが続いた。ただ、欧州主要株価指数や米株価先物が下落したこともあり、やや上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、米中交渉担当者が12/15の関税発動の見送りを計画していると発言したとの報道を受けて、米株価先物が上昇したことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は一時108.77まで上昇した。しかし、ダウ平均株価など主要株価指数が下落して始まったこともあり、その後は失速した。
(4)マーケットでは米中通商協議に対する楽観的な見方が根強く、米主要株価指数が底固い動きが続いたこともあり、ドル円・クロス円も底固い動きが続いた。その中で、クドロー米国家経済会議委員長が関税発動の計画は承知していないとしたことから上値の重い動きも見られたものの、終盤まで底固い動きが続いた。
NY市場引け後、英調査会社のYouGovが英総選挙の議席獲得予想を発表し、与党・保守党が339議席、野党・労働党が231議席獲得(前回、定数650、保守党359議席、労働党211議席獲得)だったことから、ポンドは朝方から下落した。
本日のトピックス
海外の重要なイベントを控えて様子見ムードが強まっており、株式市場や為替市場も全般的にやや小動きの展開が続いている。ただ、ヘッドラインなどでインパクトのある報道や発言がある場合には急な動きとなる可能性があることから、引き続き注意も必要だろう。
米国市場では、米10月消費者物価指数のほか、FOMCの結果発表と、パウエルFRB議長の会見が予定されている。前回、今後は少なくとも1会合は据え置く可能性を示唆したこともあり、今回は現状維持が予想されている。マーケットでは、相場に影響するようなインパクトのある声明や発言はないとの見方もあるが、前回の利下げ決定の背景として、通商問題などの影響や英国のEU離脱によるリスクが挙げられていたことから、今回の声明や議長の会見で、こうした問題に対する見解や見通しに関する発言があるのかどうか、またその内容も注目されている。
12/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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2.0% | 1.8% |
前回は、前月比・前年比ともに市場予想を上回ったものの、コア指数は市場予想を下回る減速となった。エネルギーが3ヵ月ぶりにプラスとなったことが押し上げ要因となったが、居住費が低下したことで、変動の大きいエネルギーなどを除くコア指数が低下した。今回は、前月比では低下だが、前年比はさらに上昇となり、7ヵ月ぶりに2%回復が予想されている。一方、コア指数は前月比・前年比ともに横ばいが予想されている。 | ||||
翌4:00 | 米国 |
FOMC
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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1.50%-1.75% | 1.50%-1.75% |
10月のFOMCでは、3会合連続でFF金利の誘導目標を引き下げた。今後は、少なくとも1会合は据え置く可能性を示唆した。今回は、据え置きが予想されているが、前回の利下げの背景として、通商問題などの影響や英国のEU離脱によるリスクを挙げており、声明や議長の会見でこれらの見解や見通しに関する発言などが注目されている。 |