前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れが一服し、序盤から小動きの展開となった。新規材料に乏しい中、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は狭いレンジ内の動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けて、ドル/円は一時106.57まで下落した。しかし、過去2ヵ月分が上方修正されたことに加え、失業率が1969年12月以来約50年ぶりの低水準となるなど、米労働市場の堅調さが示されことから、ドル/円は107.13まで上昇した。ただ、その後米国債利回りが低下したこともあり、ドル/円は106.81まで下落するなど、終盤までやや上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比389ドル高まで上昇した。その後も高値圏を維持し、372ドル高で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、110ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場では米経済指標の悪化を受けて106.49まで下落したものの、その後は値を戻したが、東京市場では序盤は小動きの展開となった。クラリダFRB副議長が、9月の利下げは適切だったとし、景気後退リスクが高まっているとは思わないと発言したものの、マーケットの反応は限定的だった。
(2)日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。午後に入り、下落していた日経平均株価がプラス圏まで上昇したことから底固い動きとなった。ただ、米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強まっており、全般的小動きの展開が続いた。
(3)米雇用統計では、景気を敏感に反映する非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったことを受けて、ドル/円は一時106.57まで下落した。しかし、過去2ヵ月分が合わせて4.5万人上方修正されたことに加え、失業率が3.5%と1969年12月以来約50年ぶりの低水準となるなど米労働市場の堅調さが示されたことから米景気減速懸念が和らぎ、ドル/円は107.13まで上昇した。
(4)米主要株価指数は堅調な動きが続いたものの、米10年債利回りが1.5529%から1.5051%まで低下したこともあり、ドル/円は106.81まで下落するなど、やや上値の重い動きが続いた。なお、パウエルFRB議長の講演では、雇用統計の結果には言及しなかった上、米経済はいくつかのリスクに直面しているが、全体的には良好な状態にあるとしたが、マーケットの反応は限定的だった。
本日のトピックス
前週末の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を0.9万人下回ったが、おおむね予想の範囲内の結果となった。ADP雇用統計やISM製造業・非製造業の雇用指数が低下していたことから、やや過敏に反応したとみられる。しかし、過去2ヵ月分が合わせて4.5万人上方修正されたことから、実質の伸び幅が18.1万人(9月の+13.6万人+修正分の+4.5万人)となったことや、失業率が約50年ぶりの低水準となったことで、労働市場は引き続き堅調との見方も広がり、ドルの反発につながった。ただ、米国の年内の追加利下げ観測(金利先物市場での10月のFOMCでの利下げ予想確率は、雇用統計前の85%から73%に低下)が依然として燻っていることもあり、やや上値は限定的となった。引き続き、ドルの上値の重い動きが続く可能性も考えられる。
今週は、10/10-11に米中閣僚級の通商協議が注目されており、この結果次第で相場の方向性が左右される可能性も考えられる。その中で、関連する要人発言などには敏感に反応する可能性もあり、注意も必要だろう。本日は、欧州時間ではドイツの製造業受注の発表が予定されているが、米国では主要な経済指標の発表がなく、新規材料に乏しいことから、やや小動きの展開も考えられる。