前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価がマイナス圏まで下落した流れを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなる場面もあったが、株価の反発、月末の実需のドル買い観測、米国債利回りの上昇も加わり、底固い動きとなった。ただ、目立った材料もなく、値動きは限定的だった。欧州時間には、欧州主要株価指数が下落して始まったことや、時間外取引での米国債利回りが低下となり、米2年債と10年債の利回り格差が一時-6.6bpまで拡大し2007年以来のマイナスとなったこと、30年債利回りが一時過去最低となったことが影響し、ドル/円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、主要な経済指標の発表がなく、新規材料に乏しい中、序盤か小動きの展開となった。しかし、下落して始まった米主要株価指数が軒並みプラス圏まで反発し、終盤まで上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円も堅調な動きが続いた。
米株式市場では、米長短金利の逆転が続いていることを背景に、ダウ平均株価が序盤に前日比140ドル安まで下落したものの、その後は買いが優勢となり、終盤には263ドル高まで上昇、高値圏を維持したまま258ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは29ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)新規材料に乏しい中、小高く始まった日経平均株価がマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。ドル/円は、一時105.65まで下落したものの、下値は限定的だった。スポ末で仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことや、マイナス圏まで下落した日経平均株価が小動きながら堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなり、ドル/円は105.88まで上昇した。なお、人民元の対ドル基準値は1ドル=7.0835元となり、2008年3月18日以来の元安水準となった。
(2)106円台に届かなかったことから、仲値公示通過後はやや上値の重い動きとなったが、米10年債利回りが1.4560%から1.4861%上昇したことも影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、全般的に値動きは限定的だった。その後、時間外取引での米国債利回りが低下となり、特に米30年債利回りが1.90%台まで低下し、過去最低となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、ジョンソン首相がEU離脱阻止を防ぐため、議会を停会にする可能性があるとの記者の見方が報道されたことを受けて、ポンドが主要通貨に対して下落となり、ドル/円やその他のクロス円にもやや波及した。
(3)米2年債と10年債の利回りは格差が一時-6.6bpまで拡大し2007年以来のマイナスとなったことや、30年債利回りが一時過去最低となったことが影響し、ドル/円は上値の重い動きが続いた。
米国の主要な経済指標の発表がない中、前日比140ドル安まで下落していたダウ平均株価がプラス圏まで反発したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)拡大していた米2年債と10年債の利回りは格差が縮小したことや、米主要株価指数がさらに上げ幅を拡大したことも加わり、ドル円・クロス円も堅調な動きが続いた。ドル/円は、終盤に一時106.23まで上昇した。なお、ムニューシン米財務長官が「超長期債を非常に真剣に検討」と発言したことから、米30年債利回りを中心に米国債利回りが上昇した。
本日のトピックス
本日は、欧州時間にドイツの雇用統計、消費者物価指数の発表が予定されているが、このところドイツの経済指標の悪化が続いており、ユーロ圏経済の懸念が高まっていることから結果が注目されている。一方、米国市場では、第2四半期のGDP改定値の発表が予定されており、今回の若干の下方修正が予想されている。特に、速報値では大幅上昇となった個人消費が下方修正される場合(予想は横ばい)は、GDPが2%割れとなる可能性も指摘されており、結果が注目される。また、トランプ大統領が度重なる利下げ要請をしている一方、ダドリー前NY連銀総裁がFRBに対してトランプ大統領の利下げ要求を拒否するよう求めたとの報道もあり、今後の米金融当局者の金融政策に関する発言も注目される。
8/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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2.0% | 2.1% |
前回の速報値では、市場予想ほど減速しなかったものの、設備投資や輸出が低下したことで、1-3月期の3.1%から減速した。ただ、個人消費が予想を上回ったことが下支え要因となった。今回の改定値は下方修正が予想されているが、GDPの約7割を占める個人消費は横ばい予想だが、下方修正される場合には、2%割れとなる可能性もあり、結果が注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.0% | 2.8% |
前回は、市場予想を上回り、3ヵ月ぶりの高い伸びとなった。北東部、中西部が減少したものの、最大市場の南部や西部が上昇したことが影響した。今回は、反動から伸び幅の縮小が予想されているが、3ヵ月連続の伸びとなる場合には、2014年5月以来となることから注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の転換線近辺でサポートされ、底固い動きが続いています。そして、オシレーターのRSIでは、価格と指数の逆行現象(ダイバージェンス)となっており、比較的信頼度の高い底打ちパターンのチャート形状となっています。目先の上値のポイントは、106.976となり、ここを上抜ける場合には一段の上昇となる可能性が考えられます。また、106.875には一目均衡表の基準線が位置しており、こちらの上抜けにも注目です。なお、基準線は来週5日まで横ばいですが、6日には低下となります。