前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が上昇して始まり、上げ幅を拡大したことや、米国債利回りが上昇したことも加わったほか、パウエルFRB議長の講演を控えて発言内容を見極めたいとの思惑も強まり、積極的な売買が手控えられ、限定的動きとなった。その中で、米国債利回りの上昇が続いたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米国市場では、中国が750億ドル相当の米製品に追加関税を課すと発表したことを受けて、序盤のドル/円は一段の下落となった。その後、ジャクソンホールでの公演で、パウエルFRB議長が米経済は望ましい状況にあるとしたものの、景気拡大を維持するために適切に対応するとしたことから、9月のFOMCでの利下げを決定するとの見方が広がり、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、トランプ米大統領が中国による対米追加関税の対応策を発表する意向を示したことからドル円・クロス円は大きく下落した。ドル/円は、一時1/3以来の安値となる105.26まで下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤に前日比68ドル高まで上昇する場面もあったが、その後は下げが加速し、一時745ドル安まで下落した。終盤に下げ幅を縮小したものの、623ドル安で終了した。一方、ナスダックは239ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場で複数の米金融当局者が追加利下げに否定的な見解を表明したことが改めて材料視されたことや、日経平均株価が堅調な展開で始まり、上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は序盤か底固い動きとなった。さらに、1.6114%から1.6489%まで上昇したことも加わり、ドル/円は仲値公示にかけて106.62まで上昇したが、上昇一服後は小幅反落となった。
(2)日経平均株価が小幅ながら続伸したことや、欧州主要株価指数が上昇して始まったこと、さらに米10年債利回りが1.6608%まで上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は小幅ながら一段の上昇となった。一方、ポンドは対ドルで軟調な動きが続いたことから、対円でも上値の重い動きとなった。
(3)ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を控えて、様子見ムードが強まっており、ドル円・クロス円は小動きの展開が続いた。しかし、中国が750億ドル(約8兆円)相当の米製品に追加関税を課すと発表したことを受けて、NY市場序盤のドル/円は106.73から106.40まで下落した。その後、ワイオミング州ジャクソンホールで開催されたシンポジウムでパウエルFRB議長が、米経済は望ましい状況にあるとしたことからやや値を戻したものの、景気拡大を維持するために適切に対応するとしたことから、9月のFOMCでの利下げを決定するとの見方が広がり、ドルは上値の重い動きとなった。
(4)トランプ米大統領が中国による対米追加関税の対応策を発表する意向を示したことから、米中対立の激化が懸念され、投資家のリスク回避の動きが強まった。その中で、米10年債利回りが1.6472%から1.5047%まで低下し、景気後退の予兆とされる逆イールド(10年債利回りが2年債利回りを下回る)となったことも影響し、ドル円・クロス円は大きく下落した。ドル/円は、一時105.26まで下落した。
本日のトピックス
先週末に中国が750億ドル(約8兆円)相当の米製品に追加関税を課すと発表したことに対して、トランプ米大統領が中国の輸入品に追加で5%の関税を課すと明らかにしたことで、米中の対立激化懸念が強まっており、朝方のアジア市場でもリスク回避の動きから、ドル円は一時104円台前半まで下落した。さらに、日経平均株価が序盤から大きく下落するなど、マーケットへの影響が続いている。時間外取引での米株価先物も200ポイント以上の下落となっていることもあり、ドル円・クロス円は引き続き上値の重い動きが続く可能性が考えられる。
米国市場では、前週末に大幅下落した米主要株価指数や再び逆転した米長短金利の動きに注目したい。また、経済指標では、耐久財受注、ダラス連銀製造業活動指数の発表が予定されている。耐久財受注は前回2018年8月以来の高い伸びとなり、2ヵ月連続のプラスとなるのか、またダラス連銀製造業指数は先週発表された製造業関連の経済指標が悪化したことから、追随する結果となるのか注目されている。
8/26の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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1.3% | 1.9% |
前回は、市場予想を上回り、2018年8月以来の高い伸びとなった。設備投資の先行指標となるコア資本財が過去1年間で最大の伸びとなったことが影響した。さらに、2ヵ月連続でマイナスとなった輸送機器がプラスに転じたことも下支え要因となった。今回は、伸び幅は縮小するものの、プラスの伸びが予想されている。予想通りプラスの伸びとなるようなら、今年の1月以来の2ヵ月連続のプラスとなることから注目したい。 | ||||
23:30 | 米国 |
8月ダラス連銀製造業活動指数
ダラス連銀製造業活動指数は、テキサス州の製造業約100社を対象に調査し、生産、雇用、新規受注などの結果を指数化したもの。特に、石油関連企業が多く、エネルギー価格の動向に左右される傾向がある。
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-1.0 | -6.3 |
前回は、市場予想を下回ったものの、2016年6月以来の低水準となった6月からはマイナス幅が縮小した。今回は、マイナス幅の縮小が予想されているものの、4ヵ月連続のマイナスは2016年7月以来となる。また、先週発表された製造業PMIが10年ぶり、カンザスシティー連銀指数が3年5ヵ月ぶりの低水準となったことで、米製造業に対する懸念も燻っており、懸念が高まるような結果となる場合にはマーケットへの影響も懸念される。 |