前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場で米FRBが10年7ヵ月ぶりの利下げを決定したものの、米利下げが継続するとの期待感が後退したことが引き続き材料視され、円を売ってドルを買う動きが優勢となった。さらに、米国債利回りが上昇したことに加え、下落して始まった日経平均株価が下げ幅を縮小したこともドル押し上げ要因となり、ドル/円は109.31まで上昇した。その後は、上げ一巡となり、109円台で底固い動きが続いた。
米国市場では、7月の米製造業景況指数が2年11ヵ月ぶりの低水準となり、FRBによる追加利下げ観測が広がったことから米国債利回りが低下となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は108.90台から108.10台まで下落した。その後、トランプ米大統領、9/1から3000億ドル相当の中国製品に10%の追加関税を課すと発表したことを受けて、それまで上昇していた米主要株価指数が軒並み下落に転じたことからリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。ドル/円は107.26まで下落し、2週間ぶりの安値となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な動きが一服しており、序盤はやや小動きの展開となった。その後、米10年債利回りが2.0231%から2.0509%まで上昇したことを受けて、ドル買い・円売りが優勢となった。さらに、短期筋が109円台のストップロスを狙って買い仕掛けたとの指摘もあり、ドル/円は109.31まで上昇し、5/31以来の高値を更新した。
(2)上昇一服後は、やや値動きも落ち着き、ドル/円は109円台で底固く推移した。
(3)7月の米製造業景況指数が4ヵ月連続の低下となり、2年11ヵ月ぶりの低水準となったことや、6月の米建設支出が2018年11月以来の大きなマイナス幅となったから、FRBによる追加利下げ観測が広がり、米10年債利回りが2.0439%から1.9485%まで低下となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、序盤の108.90台から108.10台まで下落した。
(4)トランプ米大統領が、9/1から3000億ドル(約32.2兆円)相当の中国製品に10%の追加関税を課すと発表したことを受けて、米中貿易摩擦が世界経済に悪影響を及ぼすとの警戒感が広がり、それまで上昇していた米主要株価指数が軒並み下落に転じたことから、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。さらに米10年債利回りが2016年11月以来2年9ヵ月ぶりの低水準となる1.8746%まで低下したことからドル売り・円買いが加速、ドル/円は107.26まで下落し、2週間ぶりの安値となった。
本日のトピックス
海外市場では、ドル円・クロス円が大幅下落となり、ドル/円も109円台から107円台まで下落した。ただ、下げが一服していることや、米雇用統計の発表も控えていることから、限定的な動きが続くと見られる。ただ、対中追加関税に関する中国側のコメントや要人発言に反応する可能性も考えられることから注意は必要だろう。
米雇用統計では、FOMCの声明で労働市場は依然として堅調、平均雇用者数は増加しているとの見方が示されたことや、先に発表されたADP雇用統計で、雇用者数の伸びが予想以上の伸びとなったこともあり、やや期待感もある。FOMCの声明通り、雇用者数の伸びや失業率、賃金の伸びなど、労働市場の堅調さが示されれば、昨晩に高まった追加利下げ観測の後退となる可能性も考えられる。
8/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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+16.5万人 | +22.4万人 |
前回は、市場予想を上回り、1月以来の大きな伸びとなり、改善傾向が示された。今回は、前回ほど伸び幅は拡大しないと予想されている。ただ、民間のADP雇用統計では、雇用者数の伸びが拡大したこともあり、予想以上の伸びを期待する向きもある。 | ||||
23:00 | 米国 |
7月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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98.5 | 98.4 |
前回の速報値は、市場予想を下回ったものの、6月の確報値から若干上昇した。現在の景況感が低下したものの、先行きの景況感が上昇したことが下支え要因となった。今回の確報値は上方修正が予想されているが、先に発表されたコンファレンス・ボードの消費者信頼感指数が8ヵ月ぶりの高水準となったことから、一部では期待感も出ている。 |