前営業日トピックス
朝方、中国の通信機器大手ファーウェイと関連70社を対象に米国からの部品輸出を規制すると発表したとの報道を受けて、マーケットでは円買いが優勢となった。さらに、日経平均株価が序盤から下落したことも影響した。下げ一服後は、値を戻したが、日経平均株価が引けまで上値の重い動きとなったこともあり、ドル円・クロス円も限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標がすべて市場予想より良好な結果となったことを受けて、米主要株価指数や長期金利が上昇となり、ドルも主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は一時109.96まで上昇し、1週間ぶりの高値となった。一方、イタリア副首相の発言やメイ英首相の辞任圧力が再び高まったことから、ユーロやポンドがドルに対して下落となったことも、ドル/円の下支え要因となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領が中国通信機器大手ファーウェイと関連70社を対象に、国家安全保障上にリスクをもたらす企業の通信機器の使用を禁止する大統領令に署名したとの報道を受けて、ドルは軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時230円超の下落となったことも影響した。そして、仲値公示近辺では買い戻しが見られたが、上値は限定的だった。一方、豪州の雇用統計で失業率が昨年8月以来の高水準となったことから豪ドルが下落となり、対ドルで1/3以来、対円では1/4以来の安値を付けた。
(2)下げ一巡後は、値頃感の買戻しが見られたものの、日経平均株価が上値の重い動きとなったことや、米株価先物が下落したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)欧州議会選を控えて、イタリアのサルビーニ副首相は、自分が党首を務める「同盟」が票を集めれば、財政規律を破り裂くと発言したことがユーロを圧迫した。ドルはユーロに対して上昇となり、対円でも底固い動きとなった。
(4)4月の米住宅着工件数や5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数など、すべての米経済指標が改善したことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となった。さらに、米主要株価の上昇や長期金利が上昇したことから、ドル/円は一時109.96まで上昇し、1週間ぶりの高値となった。一方、ジョンソン前英外相が保守党の党首選に出馬する意向を示したことや、与党保守党議員で構成する委員会の委員長が、メイ首相が6月に退任時期を示すことを明らかにしたとの報道を受けて、ポンドは対ドルなどで下落し、ポンド/ドルは2/15以来の安値を付けた。
本日のトピックス
米政権が自動車関税の判断を最大6ヵ月先送りすると報道されたが、日本とEUに対して輸出制限を求める可能性があるとの報道もあった。特に、輸入車などの追加関税について、発動を判断する期限が5/18に迫っていることもあり、トランプ米大統領が大統領令に署名するのか、あるいは判断を先送りにするのか注目が集まっている。
米国市場では、ミシガン大消費者信頼感指数、景気先行指数の発表が予定されているが、昨日発表された米経済指標は軒並み改善となりドルの押し上げ要因となったことから、良好な結果が続くのか注目される。また、英国のEU離脱問題や、ユーロ圏の政治的な問題を背景に、ユーロやポンドが上値の重い動きとなっていることも、ドルの下支え要因となっている。このことから、引き続きドルは底固い動きが続く可能性が考えられる。
また、5/18には豪州の総選挙が予定されており、世論調査では野党労働党が優勢となっている。選挙結果を受けて、週明けギャップとなる可能性もあり、一応注意しておきたい。
5/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
5月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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97.2 | 97.2 |
前回4月の確報値は、速報値から改善したものの、3月に付けた5ヵ月ぶりの高水準から低下した。先行きの景況感は、速報値から改善したものの、現在の景況感が低下したことが影響した。今回は、4月確報値から横ばいが予想されている。雇用市場は比較的良好だが、個人消費にやや陰りが見られたことが影響しているのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月景気先行指標総合指数
米景気先行指数は、米国の民間調査機関のコンファレンスボードが発表する指標で、株価や金利、企業業績、マネー・サプライなど景気に先行して動く10種類の経済指標を指数化した経済指標。景気の方向性や転換点を判断する上で参考にされる。
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0.2% | 0.4% |
前回は、市場予想と一致し、2018年9月以来の高水準となった。大半の指数で改善が見られたことが影響した。今回は、伸び幅の低下が予想されており、ISMの新規受注などが低下したことが影響している可能性も考えられるが、一方で失業保険申請が改善、株価指数(S&P)も上げ幅が拡大していることがどの程度影響するのか注目したい。 |