前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価の上昇に加え、米中通商協議が最終合意に近づいているとの報道を受けて、投資家のリスク志向が意識され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大したことや、海外株式が堅調な動きとなったことも、ドル円・クロス円の下支え要因となった。
米国市場では、序盤に発表されたADP雇用統計や、ISM非製造業景況指数が市場予想を下回る結果となったことを受けて、ドルは序盤からやや軟調な動きとなった。しかし、ワシントンで始まった米中閣僚級の通商協議の合意期待が高まっていることから、底固い動きとなった。さらに、米主要株価指数が堅調な動きとなったことで、クロス円も底固い動きとなった。ポンドは、英国のEU離脱問題に関してメイ首相と労働党のコービン党首の協議が建設的だったとの報道を受けて、堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は、ドル円・クロス円が軟調な動きとなる場面もあったが、日経平均株価が堅調な動きとなったことや、米中通商交渉が最終合意に近づいているとの報道を受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。一方、2月の豪州の小売売上高が15ヵ月ぶりの高い伸びとなったことが好感され、豪ドルは主要通貨に対して上昇となり、豪ドル/円は発表直前の78.56から79.16まで上昇した。
(2)上昇一服後は、やや下押しする場面もあったが、日経平均株価が終盤にかけて上げ幅を縮小したことや、欧州株や米株価先物が堅調な動きとなったことから底固い動きとなった。また、米中通商協議の合意に期待が高まっていることも、世界経済の懸念後退につながるとの見方も引き続き下支え要因となった。一方、ユーロ圏の経済指標結果が予想を上回り、ドイツ10年債利回りがプラス圏に回復したことが材料視され、ユーロは底固い動きとなった。
(3)3月のADP雇用統計が2017年9月以来の低い伸び、3月のISM非製造業景況指数が2017年8月以来の低水準となったことが影響し、ドルは軟調な動きとなった。しかし、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が、米中通商協議は順調に前進しているとし、今週中に合意に近づくことを期待していると発言するなど、米中通商協議への期待感が高まっていることから、ドルの下値は限定的となり、底固い動きとなった。
(4)米主要株価指数が堅調な動きとなったことで、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。一方、英国のEU離脱問題に関するメイ首相と野党労働党党首の協議が建設的だったと労働党が発表したことを受けて、ポンドは堅調な動きとなった。
本日のトピックス
昨晩、英国のEU離脱を巡るメイ首相とコービン労働党党首の協議が建設的だったとの労働党が発表したことを受けて、ポンドは堅調な動きとなった。しかし、具体的な内容が伝えられていないことや、ユンケル欧州委員長が「合意なき離脱に備える」としていること、また、カーニー英中銀総裁が「合意なき離脱のリスクが憂慮すべき高い水準」とインタビューで警告したこともあり、上値は限定的となっている。先行きの不透明感が続き、報道や要人発言に一喜一憂する動きが続くだろう。
一方、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が、今週中に合意に近づくことを期待していると発言したことで、米中通商協議の最終合意に期待が高まっており、ドルや豪ドルなどの底固い動きが続く可能性が考えられる。その中で、一部では米中通商協議後の日米通商協議(今月中旬には開催される方向)にも目が向けられて、日本の金融政策に対する思惑も出始めている。日米通商協議への警戒感が強まる場合には、ドル/円の上昇が抑えられる可能性があるだろう。
4/4の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
21.6万件 | 21.1万件 |
先週は、市場予想を下回る改善となり、1/18の週以来の低水準となった。今回は、若干の増加が予想されているものの、予想に反して改善する場合には、昨年9月に付けた1969/12/6までの週以来48年9ヵ月ぶりの低水準となった20.8万件が意識される。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の雲上限近辺で底固い動きとなり、基準線を上抜けて堅調な動きとなった。ここにきて方向性を示すとされる基準線の動きに合わせて横ばいが続いている。現状の基準線は110.920に位置しており、5日は110.920で横ばいだが、8日には110.815、9日には110.803と低下、その後は17日まで110.803での横ばいが続く。当面は、基準線とその近辺で推移している雲上限ラインが下値のポイントと考えられる。一方、上値のポイントは、111.898、112.131が段階的なポイントであり、ここを上抜ければ一段の上昇も考えられる。
気まぐれ投資コラム
週末の米雇用統計に注目
2月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想大きく下回る結果となり、2017年9月以来、1年5ヵ月ぶりの低い伸びとなりました。一方、失業率は予想以上の改善となりました。また、FRBが雇用者数や失業率と並んで重視する平均時給は、前月比、前年比ともに市場予想を上回る伸びとなり、特に前年比ベースでは、伸び幅が2009年4月以来の高い伸びとなりました。
為替市場では、非農業部門雇用者数の伸びが予想以上の低下でサプライズとなったことから、ドル売りが先行しました。しかし、失業率や賃金が予想以上に改善したことから、買い戻しの動きが優勢となりました。さらに、前日比220ドル安となったダウ平均株価が下げ幅を大きく縮小すしたことや、米国債利回りの上昇も加わり、発表直後の下げ幅を帳消しました。
完全雇用近辺であることから、マーケットの注目は雇用者数の増減よりも失業率や賃金の結果に集まっており、雇用者数の発表を受けても、以前ほど大きく動く状況にはなり難くなっています。ただ、発表直後の初動は、やはり雇用者数の伸びを見た動きとなることから、今回の雇用統計でも雇用者数の伸びが予想を上回るのかどうかがポイントとなるでしょう。その後は、前回結果の修正や、失業率、賃金の伸びの結果を見た動きとなる可能性が考えられます。これに、株価や米国金利の動きも加味されそうです。
※出所:データを基にSBILMが作成