前営業日トピックス
東京市場では、朝方にポンドとトルコ・リラが大きく下落したことを受けて、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。また、日経平均株価が序盤から前日比400円以上の下落となったことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。午後には、株価が下げ幅を縮小したことから下げ渋りが見られたが、その後再び株価が軟調な動きとなったことで、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。
米国市場では、序盤に発表された2018年第4四半期の米GDP確定値が下方修正されたものの、マーケットの反応は限定的だった。むしろ、北京で再開された米中閣僚級の通商協議に対する期待感や、米10年債利回りの上昇がドルの押し上げ要因となっており、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。その後、上昇して始まった米主要株価指数が軒並み一時マイナス圏まで下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなる場面もあった。ただ、引けにかけて株価が再び堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)朝方、英議会でメイ首相のEU離脱合意案に代わる8つの案の採決を実施したが、いずれも過半数を得られなかったことを受けて、ポンドが大幅下落となった。また、トルコ・リラも朝から下落となり、これらが影響してドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)日経平均株価が下落して始まり、序盤から前日比400円以上の下落となったことや、米長期金利の下落も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、底固い動きとなったものの、引けにかけて再び下げ幅を拡大した。また、米株価先物の下落も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
(3)欧州主要株価指数や米株価先物が堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、トルコの大統領が、トルコ中銀は利下げをすべきと発言したことを受けて、トルコ・リラが下落となり、20円台を回復していたトルコ・リラ/円は再び19円台前半まで下落した。
(4)2018年第4四半期の米GDP確定値が下方修正されたが、マーケットの反応は限定的だった。むしろ、3/28から米中閣僚級の通商協議が北京で再開され、協議進展へ期待感が高まっていたことや、米10年債利回りが2.403%まで上昇したことがドルの押し上げ要因となった。一方、3/29に英下院で離脱条件を定めた離脱協定に関する採決が予定されているが、先行きの不透明感が根強いことから、ポンドは上値の重い動きが続いた。
(5)一時117ドル高まで上昇していたダウ平均株価が一時前日比48ドル安まで下落するなど、米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落したことが影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、110.83まで上昇していたドル/円は一時110.53まで下落した。ただ、引けにかけて株価が再び堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
本日のトピックス
政治・金融問題に対する懸念が燻っているトルコや、英議会で離脱条件を定めた離脱協定に関する採決が本日予定されている英国の動きが引き続き注視される。報道や要人発言などにより、トルコ・リラや英ポンドが急な動きとなる可能性も考えられることから注意が必要だろう。また、昨日も冴えない経済指標の結果が続いたユーロ圏では、本日も主要国のドイツやフランスの経済指標の発表が予定されていることから、こちらの結果にも注目したい。
一方、米国では、個人支出、デフレーター、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数、新築住宅販売件数と主要な経済指標の発表が続く。ここまで米国でも冴えない指標結果が続いているが、トルコ・リラをはじめとした新興国通貨の不安定さや、ユーロ圏経済の減速懸念、英国のEU離脱問題の先行き不透明感などから、相対的に安全とされるドルや円に資金が動きやすい。さらに、日米の金利差を考慮すれば、最近の米国の指標結果が悪化しているにもかかわらず、ドルが底固い動きとなっていることも納得ができる。当面はこの流れが続く可能性が考えられる。
3/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
3月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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97.8 | 97.8 |
前回は、市場予想と一致し、3ヵ月ぶりの高水準に改善した。所得や景気に対する楽観的な見方を背景に、前月から上昇となった。また、現況、期待指数ともに上昇となった。前回以降、冴えない経済指標や、利上げ期待後退観測もあり、予想通り横ばいが維持できるか注目。 | ||||
23:00 | 米国 |
2月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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62.0万件 | 60.7万件 |
前回は、市場予想を下回り、3ヵ月ぶりの減少となった。販売価格が高止まりしていることが影響し、特に中西部の落ち込みが影響した。今回は、小幅減少が予想されているが、販売価格が下がらなければ、購入意欲も高まらないことから、販売価格の結果にも注目したい。 |