前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことや、上海株などアジア株が軟化したことで、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、FOMCを控えた調整のドル売りが出ていたとの見方もあった。その後は、米国債利回りの上昇や、欧州株、米株価先物などの上昇を受けて、ドル円・クロス円は米国市場序盤まで堅調な動きとなった。さらに、米財務長官らが米中通商交渉のため、来週にも訪中するとの報道を受けて、通商協議への進展期待が高まったことも押し上げ要因となった。その後、米中通商交渉で、中国が米国側の要求に抵抗しているとの報道を受けて、米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落し、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ただ、FOMCの結果発表を控えていることもあり、下値は限定的だった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時158円安まで下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、豪州の住宅価格指数が予想以上の低下となったことから、豪ドルは下落した。
(2)下落した日経平均株価がプラス圏まで上昇したことや、仲値公示にかけて実需のドル買い観測もあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後は、米10年債利回りが低下したこと、日経平均株価や上海総合が冴えない動きとなったことも影響し、上値の重い動きとなった。しかし、欧州株や米株価先物の上昇もあり、底固い動きとなった。
(3)米10年債利回りが2.588%から2.632%まで上昇したことを受けて、ドル買い・円売りとなり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は111.48まで上昇し、この日の高値を付けた。さらに、米財務長官らが、米中通商交渉のため来週にも訪中するとの報道も押し上げ要因となった。
(4)FOMCでハト派的な政策が示されるとの見通しを背景に、ドルは上値の重い動きとなった。その後、米中通商交渉で、中国が米国側の要求に抵抗していることに、一部の米政府高官が懸念を示しているとの報道で、通商協議進展への懸念が高まり、米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落したことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。しかし、FOMCの政策発表を控えており、内容を見極めたいとの見方もあり、下げ一服後は底固い動きが続いた。
本日のトピックス
本日は、FOMCの政策発表が予定されている。今回のFOMCでは、政策金利の誘導目標が2.25-2.50%に据え置かれ、追加利上げに「忍耐強くなれる」との声明が引き続き表明されるとの予想がコンセンサスとなっている。その中で、今後の利上げ見通しや、バランスシート縮小の終了時期などが示されるのかが注目されている。
12月時点で今年2回、来年1回となっていたドット・チャート(FOMCメンバーの政策金利見通し)だが、FRB理事が「金利見通しの軟化を訴えている」と発言したこともあり、今年1回または見送りなど、下方修正される可能性もあり、忍耐強くなれるとの政策との整合性が注目される。
一方、バランスシートに関しては、縮小終了の時期に関する声明や発言が出てくるかどうかが注目される。昨年12月のパウエルFRB議長がバランスシート縮小に関する発言をしたことにより、利上げの見通しの後退につながるきっかけとなったことから、FRB議長の会見での発言にも注目されている。
FRBが利上げ見通しを下方修正する場合には、リスク選好の動きが高まる可能性も考えられ、株価や資源国、新興国通貨が堅調な動きとなる可能性も考えられる。
3/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:00 | ロシア |
2月失業率 |
4.9% | 4.9% |
前回は、市場予想と一致したが、12月からは悪化した。また、昨年9月の4.5%から4ヵ月連続の悪化となった。今回は、前回から横ばいが予想されているが、1年ぶりの5%台に悪化する場合には、マーケットへの影響も考えられる。なお、ロシアの政策金利は6.50%で据え置き予想。 | ||||
翌3:00 | 米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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2.25%-2.50% | 2.25%-2.50% |
前回は、市場の予想通りFF金利の誘導目標は据え置きとなった。声明では、「さらなる斬新的な利上げ」の文言が削除され、「辛抱強い」とのスタンスが表明された。今回は、FF金利の誘導目標は据え置きがコンセンサスとなっており、ドット・チャートで金利見通しが引き下げられるのか、バランスシートの縮小に関して踏み込んだ発表があるのか注目されている。 |
気まぐれ投資コラム
ブラジル中銀の金融政策発表
日本時間3/21午前6時に、ブラジル中銀の金融政策発表が予定されています。2018年3月に過去最低金利となる6.50%に引き下げられてから、ここまで約1年間金利の据え置きが続いており、今回も据え置きとの見方が大勢となっています。エコノミスト予想では、金利据え置き予想が100%となっています。
昨年末に次期総裁に指名され、2/26に上院議会で承認されたロベルト・カンポス・ネット新総裁にとって、今回が初めての金融政策委員会となることから、新総裁の政策なども注目されています。しかし、ゴールドファイン前総裁の政策判断を継承する方針を示していることから、混乱はなさそうです。
先週発表され、ブラジル政府が公式インフレ指標に指定している消費者物価指数(IPCA)(前年比)が3.89%となり、ブラジル中銀の物価目標レンジである4.5%±1.5%のレンジ内まで回復していますが、まだ中心を下回っており、やや不安定さも残っています。このことから、一部では年内政策金利の現状維持が続くとの見方もあり、会合でのインフレに関する声明文の文言などが注目されています。
※出所:データを基にSBILMが作成
※出所:データを基にSBILMが作成