前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、序盤は堅調な動きとなったものの、日経平均株価や中国株が下落したことが影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、豪州の経済指標が良好な結果となったことを受けて、豪ドルは主要通貨に対して上昇した。その後、底固い動きとなったものの、海外市場でのイベントを控えて上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表されたADP雇用統計が市場予想を上回る結果となり、ドルは堅調な動きとなった。その後は、米FOMC控えて様子見ムードもあり、限定的な動きが続いた。そして、注目のFOMCでは、政策金利が予想通り据え置きとなったものの、声明やパウエルFRB議長の会見での発言がハト派的と受け止められたことからドルは急速な下落となり、ドル/円は一時108.81まで下落し、2週間ぶりの安値を付けた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場では、英国のEU離脱協定案の修正案の採決を巡り、アイルランド国境の修正が承認されたものの、EU側が修正に応じない姿勢を示したことから、ポンドが大幅下落となった。海外市場終盤には下げが一服し、比較的底固い動きとなったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な展開で始まった。上昇して始まった日経平均株価下落に転じ、前日比137円安まで下落したことや、上海株も下落して始まったことを受けて、ドル円・クロス円は下げ幅を拡大した。一方、オーストラリアの10-12月の消費者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、豪ドルは主要通貨に対して上昇となった。
(2)下げ一巡後は、米長期金利の上昇が好感されたことや、午後に日経平均株価が下げ幅を縮小したこと、また上海株がプラスに転じたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、FOMCや米中閣僚級の通商協議を控え、ポジション調整の動きなどから上値の重い動きが続いた。
(3)ユーロ圏景況感が2年超ぶりの低水準となったことや、ドイツの2019年成長見通しが引き下げられたことを受けて、ユーロ売り・ドル買いとなり、ドル/円も底固い動きとなった。一方、ドイツの主要株価は軟調な動きとなった。米国市場では、ADP雇用統計が市場予想を上回る結果となり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
(4)米FOMCの結果発表やパウエルFRB議長の会見を控えて、様子見ムードから限定的な動きが続いた。その中で、ユンケル欧州委員長が、EU離脱問題に関して「離脱協定で再交渉はない」、「合意なき離脱の確率が上昇した」と発言したことが影響し、ポンドは軟調な動きが続いた。そして、FOMCでは、政策金利が予想通り据え置きとなったが、声明で「さらなる緩やかな利上げ」との文言を削除したことや、バランスシートの規模などを修正する用意があるとの認識が示されたことから、ドル売りが加速した。さらに、パウエルFRB議長が会見で今後の利上げに慎重な姿勢を示すなど、発言がハト派的と受け止められたことからドルは一段の下落となり、ドル/円は一時108.81まで下落した。
本日のトピックス
米国のFOMCが終了し、利上げペースの後退観測を受けて米株価が大幅な上昇となり、日経平均株価も連れ高となっている。今週の大きなイベントとしては、米中閣僚級の通商協議の結果と米雇用統計の発表が残っている。米中閣僚級の通商協議では、楽観的な見方がある一方、ロス米国務長官が妥結には程遠いものの可能性は十分にあると、難航する可能性も示唆しており、両国でどの程度の合意が得られるのか結果が注目されている。特に、米国の追加関税措置の影響もあり、中国経済の鈍化懸念が指摘される中、中国がある程度譲歩を示すのではないかとの見方もある。結果を受けて、株価や中国との貿易上関連の深いことから、豪ドルをはじめとした資源国通貨が敏感に反応する可能性もあるだろう。
1/31の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:45 | 米国 |
1月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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61.5 | 65.4 |
前回は、市場予想を上回る結果となったものの、2017年12月以来の高水準となった11月からは若干低下となった。今回は、前回から大きな低下が予想されており、昨年の年間の平均値が62.4であることから、予想通りの結果となるようなら、製造業の鈍化懸念が意識される可能性もあるだろう。 |