前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の堅調な流れが一服し、ドルは軟調な動きとなった。一方、ユーロやポンドなどは、対ドルで下落が続いた流れを引き継ぎ、上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まり、その後も日経平均やアジア市場の株価下落などが影響し、投資家のリスク回避の動きが強まり、円を買い戻す動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が市場予想を上回ったことが好感され、ドルは序盤堅調な動きとなった。その後は、米国株の下落や米長期金利の低下を受けて、円買いが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。米株式市場では、ダウ平均株価が一時前日比308ドル安まで下落するなど、5営業日ぶりに反落、ハイテク株中心のナスダックは1.6%以上の下落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国市場でドル/円が10/5以来の114円台乗せとなった流れが一服し、序盤から上値の重い動きとなった。そして、日経平均株価が下落するなど、アジア株が軒並み軟調な動きとなったことから、円買いが優勢となった。また、イタリアの成長率予想は、イタリア政府の予想を下回り、財政赤字の対GDP比率もEUの基準に抵触すると欧州委員会が示したことが引き続き影響し、ユーロは東京市場でも軟調な動きが続いた。
(2)日経平均株価がやや下げ幅を縮小したことや、米株価先物市場で下落していたダウ先物がプラス圏まで反発したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、米長期金利が低下したことからドル売り・円買いとなり、小動きながらドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
(3)新規材料に乏しい中、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。また、序盤に発表された米生産者物価指数が市場予想を上回ったことが好感され、ドルは堅調な動きとなった。
(4)中国経済の減速懸念を背景に米国株が大幅下落したことから、投資家のリスク回避の姿勢が強まり、安全資産とされる円を買う動きが強まった。さらに、米長期金利の低下も加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、NY原油は、1984年以来34年ぶり10営業日続落となり、年初来でマイナスに転じた。
本日のトピックス
先週の大きなイベントが終了したことに加え、本日米国が休日で一部の市場が休場となり、マーケット全体がやや一服モードとなり易いことから、限定的な動きが予想される。ただ、ペンス副大統領が来日し、安倍首相との会談が予定されていることから、発言の内容が注目される。アジア地域に関連する協議が予定されており、以前の講演で中国が米国に内政干渉しているとし、南シナ海で無謀な行動を取っていると非難したこともあることから、発言によりリスク回避が意識されるようなら、動きが出る可能性があるだろう。
米国では、本日ベテランズデー(退役軍人の日)で休日となり、株式、債券、商品市場は通常通りだが、一部市場が休場となる。そして、米経済指標の発表もないことから、要人発言や懸念事項(米政府関連の人事など)に関する報道がなければ、限定的な動きが続く可能性が考えられる。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、約1ヵ月ぶりの114円台乗せとなったものの、その後はやや上値の重い動きとなっている。ここから、再び114円台乗せとなり、一段の上昇となるのか、ここから一旦調整となるのか注目したい。114.08を上抜けるようなら、次のポイントは114.54となる。
一目均衡表では、先週基準線が横ばいから低下となった。ここからは当面(12/1まで)横ばい(112.731)が続くが、114.08を上回るようなら、上向きに転換することから注目したい。一方、オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅がやや縮小していることから、このまま乖離幅の縮小が続き、先行するラインが下向きに転換する場合には一旦調整となる可能性も考えられることから、こちらの形状にも注目したい。
上値のポイント
(1)114.08(前日高値)(2)114.54(重要レジスタンス)(3)114.73(レジスタンス)
下値のポイント
(1)113.64(前日安値)(2)113.32(転換線)(3)113.01(雲上限)
気まぐれ投資コラム
ドルの買い越し額は2016/1以来の高水準も、今後の推移に注目
CFTC(米商品先物取引委員会)のIMM通貨先物の投機部門の取組(11/6までの週)では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額が286億6000万ドル(前週267億4000万ドル)と前週から増加しています。主要6通貨に対するドルの買い越し額は2016年1月以来の高水準に達しています。ドルの買い越しは21週連続。また、NZドル、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブルを含めた主要10通貨の買い越し額は299億5100万ドル(前週282億5000万ドル)でした。
米中間選挙の結果は上下院の「ねじれ」となり、政治的な分断となりました。今後、この結果が米国の経済政策などに影響し、成長の足枷になる可能性も考えられます。そのため、現状のドルの強気に対する警戒感が出てくる可能性もあり、また年末に向けた動きも加わる時期であることから、投機筋のドルのポジション動向には注目です。
※出所:データを基にSBILMが作成
※出所:データを基にSBILMが作成