前営業日トピックス
東京市場では、米国の株価続落で投資家のリスク回避の動きが強まった流れが一服し、序盤から底固い動きとなった。そして、軟調な動きとなった日経平均株価が終盤にプラス圏まで上昇して引けたことに加え、中国株や欧州株が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤から大きく上昇した米主要株価がマイナス圏に下落したことに加え、米長期金利が低下したことから、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、終盤にかけて、米主要株価が再び上昇したこともあり、ドル円・クロス円は値を戻した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米主要株価が大幅続落となったことから、リスク回避に伴う円買いが続いていたが、序盤の東京市場では一服感からやや底固い動きとなった。寄り付きに250円以上の下落となった日経平均株価が下げ幅を縮小したことを受けて、ドル円・クロス円は小動きながら堅調な動きとなった。
(2)日経平均株価が終盤にプラスに転じ、103円高で終了したことに加え、欧州主要株価が上昇して始まったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、時間外取引で上昇していた米国債利回りが低下したことから、ドル買い・円売りとなり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(3)米輸入物価指数が市場予想を上回る結果となったが、反応は限定的となり、米国市場序盤のドルは小動きの展開となった。その後、米長期金利が低下したことに加え、序盤から前日比400ドル以上の上昇となったダウ平均株価が上げ幅を縮小し、一時マイナス圏まで下落したことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、英国とEUは離脱交渉の合意に向け協議を続けているが、最後の大きな障害を乗り越えようと、新たな提案を議論しているとの報道を受けて、交渉への警戒感が広がり、ドルや円に対して上値の重い動きが続いた。
(4)米主要株価が再び上昇したこともあり、ドル円・クロス円も値を戻した。
本日のトピックス
本日は、米国の為替報告書が発表される。毎回、中国が為替操作国として名指しされるかが注目されている。ただ、先週、米財務省スタッフがムニューシン米財務長官に対し、中国は為替操作をしていないとの見解を伝えたとの報道もあり、今回も名指しされる可能性は低いとの見方が大勢を占めている。前回、為替操作国の指定はなかったが、中国、韓国、ドイツ、スイス、日本、インドが『監視リスト』に指定されたことから、今回の結果も注目される。なお、(1)対米財貿易黒字200億ドル以上、(2)経常黒字の対GDP比が3%以上、(3)持続的で一方向の為替介入がGDP比2%以上、の全ての条件に該当する場合に為替操作国、2つなら監視リストとされている。
一方、米国の主要な経済指標の発表も予定されており、良好な結果なら米経済の強さが意識され、株価の下支え要因となる可能性もあり、結果に注目したい。
10/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.6% | 0.1% |
前回は、予想外の低下となり、1月以来の低水準となった。特に、自動車や衣料品の減少が影響した。今回は、大きく改善が予想されており、特に3ヵ月連続のマイナスとなった自動車、昨年2月以来の大幅マイナスとなった衣料品が改善しているのか注目。 | ||||
21:30 | 米国 |
10月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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20.5 | 19.0 |
前回は、市場予想を下回る結果となり、昨年10月以来の高水準から低下となった。販売価格や新規受注の低下が影響した。また、6ヵ月先の予想も低下しており、今回どこまで改善しているのか注目したい。当該指標の結果が各地区の製造業景気指数先行指標となることから注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の基準線を下抜けて、一段の下げとなった。現状では、109.78から114.54までの上昇に対する半値押しとなる112.16を下抜けて111.84まで下げたが、61.8%押しの111.60までは下げておらず、やや底固い動きとなっている。
目先は、61.8%押しの111.60、雲上限ラインの111.47をトライするのか、下げ局面終了となるのか注目したい。現状では、オシレーターのMACDで両線の下向き、両線の乖離幅の拡大継続中であることから、以前として下げ継続中の形状だが、目先先行するラインの失速(乖離幅の縮小)などが見られるのか注目したい。
上値のポイント
(1)112.49(前日高値)(2)112.70(基準線)(3)112.82(レジスタンス)
下値のポイント
(1)111.84(直近安値)(2)111.60(61.8%押しのポイント)(3)111.47(雲上限ライン)
気まぐれ投資コラム
ドルが買い越しは17週連続!
CFTC(商品先物取引委員会)のIMM通貨先物の投機部門の取組では、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額が277億9000万ドル(前週266億8000万ドル)となり、2016年12月半ば以来の高水準となった。ドルが買い越しは17週連続。
また、NZドル、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブルを含めた10通貨に対する買い越し額は284億3500万ドル(前週274億2700万ドル)となった。円の売り越しは11万5201枚(前週114046枚)、ユーロの売り越しは16142枚(前週9041枚)、豪ドルの売り越しは73284枚(71718枚)、ポンドの売り越しは60507枚(59340枚)。
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成
※出所:CFTCのデータを基にSBILMが作成