前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の軟調な流れが一服し、序盤から底固い動きとなった。そして、日経平均株価や中国株などアジア株が軒並み小動きとなったことから、ドル円・クロス円も小動きの展開となった。五・十日の仲値公示に向けて、若干動きが見られたものの、値動きは限定的となった。そして、欧州勢がユーロ売りを先行させたことから、ユーロはやや軟調な動きとなった。その後、米長期金利の上昇を受けて、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米国市場では、米主要株価が大幅下落となったことから、投資家のリスク回避が強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米長期債利回りが急速に低下したことも影響してドル売り・円買いが加速し、ドル/円は9/20以来の安値を付けた。一方、米株式市場では、主要株価が軒並み大幅下落となり、特にダウ平均株価は831ドル安で終了し、1日の下げ幅としては2/8以来、約8ヵ月ぶりの大きさとなった。そして、ナスダックは4%以上、S&P500は3%以上の大幅下落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米長期金利の低下が続いたことに加え、トランプ米大統領がFRBの利上げペースが速すぎると発言したことを受けて、ドル売り・円買いとなった流れが一服し、序盤から底固い動きとなった。今年1-8月の対外直接投資が過去最大を記録した昨年とほぼ変わらないペースとなり、日本企業による海外企業の買収が引き続き活発に行われていることが明らかになったことも、ドル円・クロス円も下支え要因となった。
(2)アジア株が全般で小動きとなり、特に注目されていた中国株も小幅変動となったこともあり、ドル円・クロス円はやや限定的な動きが続いた。その後、欧州主要株価が軟調な展開で始まったことを受けて、欧州勢がドル買い・ユーロ売りを先行させたことから、ユーロはドルや円など主要通貨に対して軟調な動きとなった。そして、米長期金利が上昇したことで円が売られた。
(3)米国市場では、主要株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したことから投資家のリスク回避の動きが強まり、相対的に安全な通貨とされる円を買う動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、ムニューシン財務長官が人民元の下落について中国政府による為替操作を調査する方針を示したことで、米中関係悪化への警戒感が広がったことも影響した。一方、英国が関税同盟に一時的に残留する可能性など、双方が妥協を協議しているとの報道に加え、EUの首席交渉官が80-85%で合意に至ったと発言したことから、英国のEU離脱を巡る協議で合意に至るとの楽観的な見方を背景に、ポンドは対ドルで堅調な動きとなり、2週間ぶりの高値となった。
(4)米長期債利回りが急速に低下したことからドル売り・円買いが加速し、ドル/円は9/20以来の安値を付けた。また、ダウ平均株価が800ドル以上の下落となったことも影響し、ドル円クロス円は軟調な動きとなった。
本日のトピックス
前日の欧米市場の株価の大幅下落の影響を受けて、日経平均株価も序盤から大きく下落しているが、為替市場では海外市場で下落していることから、やや一服感から底固い動きとなっている。そのため、欧州株や米株価が引き続き下落となるのか、または反動で値を戻すのか注目される。引き続き株価が下落となるようなら、ドル円・クロス円は軟調な動きとなる可能性も考えられる。そして、本日からG20財務相・中央銀行総裁会合がインドネシアのバリで開かれる。先日、IMF(国際通貨基金)が世界経済の見通しを下方修正しており、その背景には貿易摩擦や米国の利上げの影響が指摘された。特に、米国の利上げの影響により新興国からの資金流出懸念も高まっており、米国の利上げペースの影響が議論されることも予想され、内容によっては為替相場に影響が出る可能性も考えられる。
米国市場では、消費者物価指数の発表が予定されており、前回は予想外の伸び幅の低下となったことから、発表直後にドルが下落したが、今回は前年比、コア指数の伸び幅の拡大が予想されており、結果が注目される。さらに、利回りが4年3ヵ月ぶりの高水準へ上昇した米30年債の入札が予定されており、入札結果や前後のドルの動きに注目したい。
10/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
9月消費者物価指数(前月比) |
0.2% | 0.2% |
前回は、前月比、前年比、コア指数など予想外に伸び幅が鈍化した。被服費が70年ぶりの大幅マイナスとなったことや、医療費の低下などが影響した。特に、前年比は2011年12月以来の高水準から大きく低下した。今回、前月比では引き続き前回から伸び幅が横ばいと予想されているが、前年比やコア指数は前回を上回る伸びが予想されており、予想通りならドルの下支え要因となるだろう。 |