前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の軟調な流れが一服し、序盤から小動きの展開となった。米国が対中制裁関税を強化することで両国関係が冷え込むとの懸念が引き続きドル円・クロス円の上値を圧迫している。また、日経平均をはじめとしたアジア株が軒並み大きく下落したことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
欧州市場では、改めて米中貿易摩擦への懸念を材料に、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。また、トルコと米国の関係悪化を受けたリスク回避も加わった。
米国市場では、米雇用統計を週末に控えてやや積極的な売買が手控えられていたが、大きく下落した米主要株価がプラス圏まで反発したことや、週末の米雇用統計に対する期待感も加わり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中貿易摩擦の懸念を背景に、海外市場でリスク回避の動きが強まった流れが一服したが、序盤からやや上値の重い動きとなった。日銀やFOMCの金融政策発表が終了したことで、マーケットの注目が週末の米雇用統計に移っていることもあり、小動きの展開が続いた。ただ、仲値公示にかけては、ドル買い・円売りのフローもあり、若干ドル/円を押し上げた。
(2)仲値公示通過後は、再び上値の重い動きとなった。そして、日経平均株価が前日比200円以上の下落となったことに加え、日本の長期金利の上昇傾向もあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。そして、米中貿易摩擦への懸念を材料に、安全な通貨とされる円を買う動きが優勢となった。一方、米国による対トルコの制裁発動に対する懸念が広がっていることから、トルコリラの下落が目立ち、トルコリラ/円は一時22円台割れまで下落した。
(3)英中銀は、市場の予想通り利上げを決定したが、英国のEU離脱リスクに言及したことが嫌気され、ポンドは利上げ発表を受けて上昇したものの、その後大きく下落した。そして、そのあおりを受けて、ドル円やその他のクロス円も下落した。
(4)大きく下落した米主要株価がプラス圏まで反発したことや、堅調だったADP雇用統計の結果を受けて、週末の米雇用統計に対する期待感が高まっていることも加わり、ドルが主要通貨に対して堅調な動きとなった。また、前日のFOMCの声明で、経済活動は力強いペースで拡大していると指摘し、漸進的な利上げの方針を改めて示したこともドルの支援材料となった。
本日のトピックス
今週最後のイベントとなる米雇用統計の発表を控えて、様子見ムードが強まる可能性が考えられる。ただ、日本の長期金利の動きにはマーケットも注目しており、長期金利に動きが出るようなら、為替市場にも影響する可能性もあるだろう。そして、米雇用統計では、事前に発表されたADP雇用統計で民間の雇用者数の伸びが市場予想を上回る結果となったことから、やや期待感も高まっている。事前の予想では、前回結果を下回る伸びが予想されており、結果が注目される。特に、住宅関連の経済指標の悪化が続いていることから、建設関連の雇用の伸びが悪化した(ADP雇用統計でも前月の半分の伸びに留まった)こともあり、どこまで影響が出ているのかも注目される。また、賃金に関しては、緩やかな上昇傾向だが、引き続き3%以下の伸びが続くと見られており、反応は限定的だろう。
8/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
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19.2万人 | 21.3万人 |
前回は、市場予想を上回り、2?月連続で安定的な伸びとされる+20万人を上回った。今回も市場予想が+20万人を下回るとの予想となっているが、先に発表された民間の雇用者数の伸びが良好だったことから、再び大台を上回るとの期待感も高まっている。一方、雇用者数の伸びは限定的との見方も根強い。 |