前営業日トピックス
米国と中国が互いの製品に追加関税を課す制裁措置の発動が意識されて、投資家の様子見姿勢が強まり、序盤から小動きの展開となった。そして、株価の動きを受けて円売りとなる場面もあったが、上値は限定的だった。多少動きが出たものの、発動まである程度時間が経過していたこともあり、やや限定的な動きとなった。ただ、日経平均株価が上げ幅を拡大したことに反応し、円が売られた。株式市場終了後は、調整の動きから円が買い戻された。
米国市場では、注目された米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったものの、失業率が悪化したことや、賃金の伸びが予想を下回ったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して下落した。また、米国の貿易問題を巡る懸念が強まったこともドルの圧迫材料となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中の関税措置を控えて一部で警戒感が高まっており、序盤のドル円・クロス円はやや軟調な動きとなった。日経平均株価が堅調な展開で始まり、上げ幅を拡大したことや、中国の上海総合株指数など、底堅いアジア株動向が下支えとなった。
(2)上昇一服後は、米国の中国の知的財産侵害に対する制裁関税の発動を控えて様子見ムードが強まり、小動きの展開が続いた。そして、トランプ米政権による対中追加関税が発動されたが、市場の反応は限定的で、株価や米金利が上昇する中、円を売ってドルを買い戻す動きがやや優勢となった。その後、中国商務省報道官の発言を受けて円高に振れた後は、日経平均株価が前日比300円以上の上昇となったことから、再び円が売られた。
(3)マーケットでは米雇用統計に注目が移っており、材料出尽くし感から、一旦のポジション調整の動きなどもあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(4)米雇用統計の発表直前には、思惑が交錯してドルが上昇する場面もあったが、非農業部門雇用者数が2ヵ月連続で安定的な雇用の伸びの目安となる+20万人を上回ったものの、失業率の悪化に加え、賃金の伸びが市場予想を下回ったことが嫌気され、ドルは主要通貨に対して下落した。また、米国が発動した輸入関税に対して中国が報復関税を発動したほか、ロシアが報復関税を発表したことで貿易問題を巡る懸念が強まったことも、ドルの圧迫材料となった。
(5)下げ一服後は、値を戻す場面もあったが、米貿易問題に対する懸念が根強く、ドルは上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
4月以降、ユーロ圏主要国の政治的な懸念からユーロは軟調な動きが続いていたが、イタリア、ドイツなどの懸念が後退したことや、ECB利上げ時期が早まる可能性との見方も、このところのユーロの後押し要因となっている。また、米国との貿易問題が緩和されたことも材料視されており、引き続き底固い動きが続く可能性がある。ECB当局者から、貿易や金融政策に関する発言があれば敏感に反応する可能性が考えられる。
米国市場では、主要な米国の経済指標の発表が無く、米雇用統計が終了したこともあり、やや一服といったところだろう。ただ、貿易問題に関する懸念が根強いことから、要人発言などには注目したい。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ユーロ/円は、4月に上抜けられなかった一目均衡表の雲上限ラインを先週後半に上抜けており、また2015年8月以来の高値となる137.49からのトレンドラインも上抜けており、ここから堅調な動きが続くのか注目したい。
一目均衡表の雲上抜け時に注目される雲の動きは横ばいとなっていることから、比較的底固い動きが続く可能性も考えられる。また、オシレーターのMACDでは、両線の乖離幅が拡大していることや、先行するラインがゼロポイントを上抜けていることから、乖離幅の拡大が続き、遅行するラインもゼロポイントを上抜ける場合には、上昇継続のシグナルとなることから注目したい。
当面の上値のポイントは130.34、下値のポイントは雲上限ラインの129.05となる。
上値のポイント
(1)129.96(前日高値)(2)130.34(重要レジスタンス)(3)131.37(重要レジスタンス)
下値のポイント
(1)129.22(前日安値)(2)129.05(一目雲上限)(3)128.49(基準線)