前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。しかし、新規材料に乏しい中、日米首脳会談やG7首脳会議、また来週の米朝首脳会談に絡む思惑もあって様子見ムードが高まり、小動きの展開が続いた。その後、米長期金利が上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調ない動きとなった。
米国市場では、米貿易赤字が縮小したものの、米政権とEUなどの貿易摩擦に対する警戒感から、円が買われた。その後、トランプ米大統領が通商問題を抱えるカナダやフランスの首脳と会談を予定していることが明らかにされたことから貿易摩擦への懸念が後退した。また米国の貿易赤字が縮小したことが改めて材料視され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。そして、米株価が大幅上昇となったことも影響した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米経済指標の改善が好感されてドル買い・円売りとなった流れを引き継ぎ、序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、米国の貿易摩擦を巡る懸念も根強く、やや上値の重い動きとなった。
(2)新規材料に乏しい中、カナダで開催されるG7首脳会議や、6/12に行われる米朝首脳会談を見極めたいとの様子見ムードが広がっており、小動きの展開が続いた。その後、欧州勢参入時には、政治情勢に関する思惑などが交錯し、やや荒っぽい動きとなった。そして、米長期金利の上昇を受けてドル買い・円売りが強まった。また、プラートECB理事が、インフレ期待と目標との整合性が増しつつあると発言したことから、ユーロが堅調な動きとなった。
(3)G7を控えて、米政権とEUなどの貿易摩擦が悪化すれば世界経済成長の下押しリスクになるとの警戒感から円が買われ、序盤のドル円・クロス円はやや軟調な動きとなった。また、上昇が続いた米長期金利がやや低下したことも影響した。
(4)米国の貿易赤字が縮小したことや、クドロー国家経済会議(NEC)委員長がトランプ米大統領が通商問題を抱えるカナダやフランスの首脳と会談を予定していることを明らかにしたことから、貿易摩擦への懸念が後退し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、米株式市場では、ダウ平均株価の大幅上昇、S&P500が4営業日続伸、ナスダックが最高値更新となったことも影響した。
本日のトピックス
欧州では、ユーロ圏のGDPの発表が予定されている。前日に、ECBの政策当局者が来週の会合で資産買い入れを終了する時期を公表する可能性もあると明らかにしたことが材料視されたが、それを後押しする結果となるのか注目したい。また、トルコの政策金利発表が予定されており、注目が集まっている。ここまで、トルコリラの下落が続いたことから、防衛のために利上げを実施してきた。今回も追加利上げが予想されており、結果とマーケットの反応に注目したい。
米国市場でも、雇用関連の経済指標の発表が予定されているものの、日米首脳会談やG7首脳会議を控えており 様子見ムードが強まる可能性も考えられる。また、日米首脳会談が行われることから、関連報道にも注目したい。
6/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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22.1万件 | 22.1万件 |
前回は、市場予想を下回り、3週間ぶりに改善した。今年ここまでの平均値は22.6万件であり、低位安定している。今回も前週と変わらずと予想されており、市場予想から上下に大きく乖離しなければ、マーケットへの反応は限定的だろう。 |
気まぐれ投資コラム
政策金利の利上げを継続するのか?
本日20時にトルコの政策金利発表が予定されています。このところ、トルコリラの下落が加速したことから、通貨防衛のため緊急利上げなどを実施しています。エルドアン大統領は、利上げに反対しており、次期大統領選に再選を果たせばその動きが強まるとされています。
今回、1週間レポレート(前回16.50%、予想16.50%)、翌日物貸出金利(前回18.00%、予想18.75%)、翌日物借入金利(前回15.00%、予想15.50%)、後期流動性貸出金利(前回19.50%、予想19.50%)の4つの政策金利が注目されています。いずれの政策金利も5/28の理事会で利上げが決定されており、特に後期流動性貸出金利は4/25(0.75%利上げ)、5/23(3%利上げ)にも利上げが決定されています。
利上げ後のトルコリラは、やや落ち着いた動きとなっており、通貨下落の防衛効果があったと考えられます。マーケットでは、今回の発表でも敏感に反応する可能性が予想されており、注意が必要です。
※出所:データを基にSBILMが作成