前営業日トピックス
米朝関係の緊迫化でリスク回避の動きが燻る中、日経平均株価が下落したことを受けて、ドル円・クロス円は仲値公示にかけて軟調な動きが続いた。その後、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、値を戻す動きが見られたものの、終盤にかけて再び株価が軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
海外市場では、米国債利回りが上昇したことを受けて、日米金利差拡大が意識され、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は112円台に回復した。しかし、米経済指標が市場予想を下回る結果となったことから、上値の重い動きとなった。
その後、イエレンFRB議長の講演を受けて年内の追加利上げ観測が強まり、円が売られたことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、12月の追加利上げを示唆する具体的な発言がなかったことから、引けにかけて上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場で、北朝鮮外相がトランプ米大統領の国連での発言は宣戦布告に当たるとしたことを受けて、リスク回避の動きとなった流れを受けて、序盤からドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。また、日経平均株価が下落したことも影響した。
(2)仲値公示後は、日経平均株価が下げ幅を縮小したことを受けて、ドル円・クロス円は一時値を戻す動きとなったものの、午後には再び株価が下落したことから、上値の重い動きとなった。また、米国の税制改革法案の発表を控えて、様子見ムードが出ていたことも、ドルの上値を抑える要因となった。
(3)イエレンFRB議長の講演を控えて、ポジション調整の円売り・ドル買いがやや優勢となった。また、米国債利回りが上昇したことも対円でのドルの押し上げ要因となった。一方、ドイツの政治的不透明感が引き続き懸念材料となり、ユーロは対ドルを中心に主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(4)米国債利回りの上昇が続いたことから、ドル買い・円売りが続いたものの、米新築住宅販売件数、消費者信頼感指数がともに市場予想を下回る結果となったことを受けて、ドルは上値の重い動きとなった。そして、イエレンFRB議長が「緩やか過ぎるペースでの利上げに当局は注意するべき」とし、「緩和政策の長期化は金融の安定を損ないかねない」としたことを受けて、年内の利上げ期待が高まり、ドル買い・円売りが優勢となった。ただ、12月の利上げに関して改めて示唆しなかったことや、雇用市場の強さ、インフレを左右する要因に関し、当局が判断を誤った可能性があるとの見方を示したことから、その後はやや上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、前日、北朝鮮情勢の緊張が影響して株価が下落となったが、海外市場では状況を見極めたいとの思惑からやや一服している。その中で、日本では衆院解散を控えて思惑が交錯する可能性も考えられる。2000年以降の解散は6回あるが、そのうちの5回は解散から投票までの間に株価が上昇(平均で約370円上昇)となっていることから、解散を前にして株価の動きに注目したい。
米国市場では、トランプ米大統領が税制改革に関する極めて包括的な報告をすると発表していることから、内容に注目したい。また、主要な米経済指標の発表や、複数の当局者の発言が引き続き予定されていることから、発言の内容にも注目したい。
9/27の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
8月耐久財受注(前月比)
耐久財受注(Durable Goods Manufacture's Orders)は、米国の耐久財(耐久年数3年以上)の新規受注額を集計した指標であり、設備投資の先行指標として注目されている。特に、変動の大きい輸送用機器などを除いた受注額が民間の設備投資の先行指標として注目されている。
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1.0% | -6.8% |
前回は、市場予想を大きく下回り、2014年8月以来の大きな下落幅となった。特に変動の大きい航空機において、民間航空機が6月に+129.3%となった反動で-70.7%と、大きく低下したことが全体を押し下げた。ただ、変動の大きい輸送機器を除いた指数では+0.5%と堅調な結果となっている。全体では、変動の大きい輸送機器の影響を受けやすいことから、輸送機器を除いた指数に注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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-0.5% | -0.8% |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月ぶりのマイナスとなった。ここまで7ヵ月中、5ヵ月でマイナスとなるなど、低迷が続いており、中古住宅市場の失速が続いている。先に発表された中古住宅販売も低調が続いており、当該指数の低下が続く場合には、引き続き中古住宅販売の低迷に繋がる可能性も懸念される。 |