前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は底固い動きで始まった。ドル/円は3/15以来の高値を更新する場面もあった。その後は五十日(ごとおび)後で実需のフローがやや少なかったことや、上昇して始まった日経平均株価が、上値の重い動きとなったことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、終盤まで上値の重い動きが続いた。
米国市場では、物価関連や雇用関連の経済指標が良好な結果となったことから、序盤は堅調な動きとなったもののやや上値は限定的となった。その後、株価の下落や米債券利回りの低下を受けて、円買いとなり、ストップを巻き込んでドル円・クロス円はこの日の安値を更新する動きとなった。ただ、下げ一巡後は、値を戻す動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国の債券入札での需要の弱さなどを背景に、米債券利回りが上昇したことや、米当局者の発言を受けてドル買いとなった海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から底固い動きとなった。また、日本の3月経常収支、貿易収支が市場予想を上回ったが、マーケットへの反応は限定的となった。
(2)上昇して始まった日経平均株価が、上げ幅を縮小する動きとなったことが影響し、やや軟調な動きとなった。ただ、その後は新規材料に乏しく、狭いレンジ内の動きが続いた。
(3)米経済指標が、市場予想より改善したことから、ドルが買われる場面もあったが、欧米の株価や米債券利回りの低下が影響し、円買いが優勢となった。また、ここまでドル買いが続いたことで、短期筋の利益確定の動きも見られ、下げ幅が拡大した。
(4)下げ一巡後は、米国の利上げ期待などを背景に、値頃感の買い戻しなども入り、値を戻す動きとなったものの、引けにかけては上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
東京市場では、日本の主要な経済指標の発表がないことや週末であることから、やや限定的な動きも考えられる。ただ、週末の実需のフローも予想されることから、仲値公示や引け近辺などには注意したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表が続くことから、結果には注目したい。特に、小売売上高、消費者物価指数は、前回結果が予想外の悪化となり、利上げ期待の後退観測からドルがやや下落した経緯があることから、結果には注目したい。そして、改善が見られるようなら、改めて6月のFOMCでの利上げ期待から、ドルが堅調な動きとなる可能性も考えられる。また、週末であることから、午後になると限定的な動きとなる展開もあるだろう。
5/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.6% | -0.2% |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月連続のマイナスとなった。2ヵ月連続のマイナスとなったことで、堅調だった個人消費に対する懸念も出ていた。自動車や建材のマイナスが影響しており、コアはマイナスとはならなかった。今回は、反動で大幅な改善が予想されており、予想通りの結果なら、ドルの押し上げに期待も出るだろう。 | ||||
21:30 | 米国 |
4月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.2% | -0.3% |
前回は、予想外のマイナスとなり、コアも1982年以来の大幅な下げで、2010年1月以来のマイナスとなった。この結果を受けて、利上げ期待が後退し、ドルが売られる動きとなった。今回は、プラス改善が予想されており、低下は一時的だったと見込まれている。改善となれば、利上げ期待も高まる可能性もあり、ドルの押し上げに寄与するか注目したい。 |