前営業日トピックス
東京市場のドル/円は、前週末の海外市場の終値から30ポイント以上ギャップアップして始まった。しかし、リスク回避の動きから、一段の下げとなった。その後は、ドルを買い戻す動きも見られ、終盤まで堅調な展開が続いた。海外市場では、原油価格や株価の下落を背景に、投資家のリスク回避の動きが強まり、円を買う動きが優勢となった。ただ、原油価格や株価が値を戻したことから、ドル/円も値を戻す動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末の海外市場の終値からギャップアップして始まったものの、米ジャンク債ファンドが収益悪化で解約制限との報道や、株安・原油安を嫌気して金融市場全般にリスク回避ムードが広がっていることが意識され、ドル売り・円買いとなった。
(2)日銀短観や、大きく下落した日経平均株価に対する反応は限定的だった。その後、120円台後半では実需の買いフローが見られたことや、株価が大きく下げ幅を縮小する動きとなったことから、ドル/円は堅調な動きとなった。
(3)海外市場では、欧州主要株価が大きく下落したことや、WTI原油が一時34.50台まで下落したことからリスク回避の動きが強まり、ドル/円は一段の下落となった。また、米株価が下落したことも影響した。
(4)原油価格が安値から2ドル以上上昇したことや、株価がプラス圏に反発したことから、ドル/円も値を戻す動きとなった。
本日のトピックス
米国では、注目されるFOMCが始まることから、結果発表(日本時間17日午前4時)までは、やや動きにくく、小動きの展開が続く可能性も考えられる。ドル/円は、120円台では実需や値頃感の買いが散見されるものの、株安・原油安を嫌気して金融市場全般にリスク回避ムードが広がる中、投機筋などがバイ・オン・ディップス(押し目買い)を控える動きも見られ、上値の重い動きが考えられる。その中で、原油価格や株価が大きく下落するようなら、リスク回避の円買いが強まる可能性も考えられることから、警戒は必要だろう。そして、主要な経済指標の発表が予定されているが、市場予想との乖離が無ければ、反応は限定的だろう。
12/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
11月消費者物価指数(前月比)
消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.0% | 0.2% |
前回(10月分)は、エネルギー価格が3ヵ月ぶりにプラスとなったことなどから、物価指数も3ヵ月ぶりのプラスとなった。今回(11月分)は、横ばい予想となっているが、原油価格は10月よりも低下していることから、予想以上に影響がでる可能性も考えられる。 | ||||
22:30 | 米国 |
12月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。 製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。 |
-7.00 | -10.74 |
前回は、市場予想を下回り、4ヵ月連続の二桁マイナスとなった。今回は、前回からの改善が予想されているものの、依然としてマイナスが予想されている。製造業全体で低迷が続いているが、改善の兆しが見られるのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート日足
豪ドル/円は、一目均衡表の基準線・転換線を上抜けて雲の中に入り込む動きとなっている。目先は、雲を上抜けるのかどうかに注目したい。上抜けるようなら一段の上昇も考えられる。また、オシレーターのMACDでは、両線上向き継続でゼロポイント上抜け間近だが、乖離幅の拡大が見られない(横ばい)ことから、下向きに反転する形に変化する場合には注意したい。
気まぐれ投資コラム
マネー・マネジメント (1)
トレードをする上では、(1)価格予想 (2)売買のタイミング (3)マネー・マネジメントが重要な3要素となります。(1)(2)はテクニカル分析などで網羅できます。そして、トレードをする上で(3)がより重要と考えられます。
『勝ちを最大限に、負けを最小限にする』
これは、リアルタイム・リアルマネーのトレードコンテストの「ロビンスカップ」において、1万ドル(約121万円※)の元金を1年間で114万ドル(約1億3800万円※)に増やして優勝し、伝説となったトレーダーであるラリー・ウィリアムズ氏の格言です。『負けを最小限に』というのが、まさにマネー・マネジメントと考えられます(ちなみに『勝ちを最大限に』はトレード戦略と考えられます)。
マネー・マネジメントとは資金管理のことであり、トレード手法そのものよりも、マネー・マネジメントがトレードをする上で最も重要であるとの意見も多く見られます。
トレードにおいて、勝率10割というのはほとんどないと思います。プロ野球では、3割打者は優秀とされますが、確率的には10回中7回はアウトになるのです。トレードにおいても、損をしてしまうケースがよくあります。その場合、いかに損失を拡大させないかをマネジメント(リスク管理)することが重要です。
リスク管理が重要であるとの認識は比較的高いものの、思惑と反対に動いた場合のリスク容認度(いくらのマイナスまで容認できるか)をあらかじめ決めて取引に臨んでいるというトレーダーはそれほど多くありません。通常時の動きの場合には、それほど問題とならないことも多いですが、急速な動きとなる場合には、思わぬマイナスとなる場合もあります。そのため、ロスカットなどのリスク管理が重要となってきます。
※1ドル=121円として計算