26日に投開票されたドイツ連邦議会選挙は中道左派のSPD(社会民主党)が210議席を 獲得し、キリスト教民主・社会同盟(CDU+CSU)の198議席を上回り、メルケル政権で財務相を務 めたショルツ氏が次期政権樹立に向け中心的な役割を果たすことになりそうです。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
しかし、SPDの勝利が僅差となったことから連立政権樹立まで数週間もしくは数ヵ月に渡る交渉が続く可能性もあり、ドイツの新政権を巡る不透明感がユーロの上値抑制につながるかもしれません。連立政権の組み合わせとして以下の可能性が取り沙汰されており、今後の動向次第では混沌とするかもしれません。
① SPD + キリスト教民主・社会同盟(CDU+CSU) + 95議席を獲得した自由民主党(FDP)
② SPD + 112議席を獲得した緑の党 + FDP
③ SPD + CDU/CSU (現実的には可能性がかなり低い状況)
④ CDU/CSU + 緑の党 + FDP の連立の可能性も含め混沌とするかもしれません。
選挙に勝った人物が自動的に首相になるというルールはなく、さらにショルツ氏(SPD)およびラシェット氏(CDU)の両者がともに首相の座に就くことを主張しています。
政策面でSPD(210議席)に近い緑の党(112議席)で合わせても322議席。一方、CDU(198議席)とFDP(95議席)と合わせても293議席、SPD(210議席)とFDP(95議席)と合わせても305議席、いずれも過半数(371議席)には足りないことから、緑の党やFDPの動向が連立政権の行方を占う上で重要な役割を果たすことになりそうです。
しかし、これまでSPDおよびCDU/CSUはともに大連立の可能性を排除する意向を示しており、それ以外の形での3党連立の交渉がこれからスタートすることになるかもしれません。さらに数ヶ月の交渉を経てもあらゆる連立政権への交渉が失敗に終わった場合、大統領は議会を解散して再選挙を行うこともできますが、過去に例はなく、大統領は長期間に渡って各政党に譲歩を促す可能性もあるかもしれません。それまでは現メルケル政権が暫定政府として引き続き任務を遂行する状況がいつまで続くのか、ユーロ売りを加速させる要因となるか注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
・今年6月1日の高値(1.2254ドル)と6月9日の高値(1.2217ドル)を結んだライン①
・今年8月20日の安値(1.6664ドル)を起点に真横に引いたライン②
①今後の連立政権の行方を受けて日足・転換線(1.1756ドル)や日足・雲の下限(1.1760ドル)が上値抵抗線と
して意識され、ライン①を回復できない上値の重い値動きを継続するか 注目されます。
②連立政権の行方を巡るドイツ政局の不透明感が長期化するなど混沌とした場合、 ライン②(1.1664ドル)
を下抜け昨年11月4日の安値(1.1603ドル)を目指して一段安となるか 注目されます。
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