米9月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間: |
10/6(金)21:30(日本時間)
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前回値: |
+15.6万人 / 4.4% |
事前予想: |
+8.5万人 / 4.4% |
10/6(金)発表の米雇用統計 予想を確認!
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月予想 | |
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非農業部門 雇用者数(万人) | 5.0 | 20.7 | 14.5 | 21.0 | 18.9 | 15.6 | 8.5 |
失業率(%) | 4.5 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.3 | 4.4 | 4.4 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.1 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 2.6 | 2.5 | 2.4 | 2.5 | 2.5 | 2.5 | 2.5 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
※市場予想は10/2現在の予想平均値
米 非農業部門雇用者数(万人)、失業率(%)の推移
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
米 時間給賃金(%)の推移
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
今回の雇用統計注目ポイント
今週末10/6(金)に米雇用統計が発表されます。
先月19-20日のFOMCでは、FOMC参加者16名中12名が年内の追加利上げを予想していることが明らかになった一方で、先行きの政策金利の上限予想は引き下げられました。
さらに先週、イエレンFRB議長は講演の中で「インフレ率の2%達成まで現状の金融政策を据え置くことは賢明ではない」、「緩和策の長期化は金融の安定を損ないかねない」と発言しました。
その一方、「早すぎる利上げは成長を鈍化させかねない」、「中立金利までの過剰な引き締めは不必要である」として、金融政策については引き続き経済情勢やインフレ動向を見極めながら判断していくとする従来からの姿勢を繰り返し主張しています。
また「ハリケーンによる影響で米国経済は一時的に減速するが、今後数年に渡り緩やかな拡大が続くだろう」と強気な見通しを示しています。
テキサス州ヒューストンを中心に莫大な被害をもたらしたハリケーン・ハービーに続いて、フロリダを襲ったハリケーン・イルマによる影響もあって、9月に入ってから発表された週間の新規失業保険申請件数は8月の平均(23.76万件)から約4万件増加した27.8万件へと悪化しました。
そして今回、9月雇用統計にもその影響が及ぶと見られており、就業者数は4ヵ月連続で前月から減少の8.5万人増と今年3月(5.0万人)以来の低水準になると予想されています。
今回の雇用統計はハリケーンによる影響が考えられるため悪い数値となっても『ハリケーン』という言い訳が存在することから、雇用統計による市場へのインパクトはどの程度のものになるのか判断が難しいかもしれません。
事実、先週末に発表された米8月個人消費支出コア・デフレーター(価格指数)は、前年同月比+1.3%と前月から低下しましたが、ハリケーンによる影響と見たのか、市場の反応は一時的なものに留まりました。
米8月個人消費支出コア・デフレーター(%) 推移
- ※出所:Bloomberg
低インフレの理由は未だに謎?
昨年までイエレン議長は低インフレの要因として「労働市場のたるみ」のほか、「ドル高による輸入物価の低下」、さらには「エネルギー価格の低迷」を挙げていました。
しかし、今年に入ってからは、昨年までの理由にかわり、携帯電話料金や処方箋薬などの下落による一時的な要因であり、いずれ物価は上向くとしていました。さらにネット通販の拡大も物価抑制の一因となっているようです。
こうした経済構造の変化や労働人口動態の偏り、さらにはグローバル化による賃金の下押し圧力など、インフレを理解する枠組みそのものが大きく変化している可能性まで取り沙汰されています。
「低インフレは一時的な現象」との考え方が見直されない限り、時間給賃金を見る尺度も従来から変わらず、余程大幅な賃上げが起こらない限り急速な賃金の上振れは望めないのが現状です。
イエレンFRB議長は先週の講演で「物価変動をもたらす力に関する我々の理解は不完全である」との認識を示した上で「持続的な要素が下振れをもたらしているのかもしれない」と発言しています。
就業者数や失業者数の下振れはハリケーンの影響という説明が付く一方、時間給賃金の伸び悩み状況に対してはFRBでも『謎説き』が出来ていない中で市場がどのように反応するのか注目点の一つとなりそうです。
少なくとも多くのFOMC委員が予想する年内追加利上げの見方を覆すほどのネガティブな数値にならない限り、反応は限定的になるかもしれません。