9月に入ってからの日経平均とドル円相場は?
9/8、ドル円はNY市場序盤に107円32銭まで下落し、年初来安値を更新しました。
その12時間前、日経平均は一時19,239円まで下落し、19,274円82銭で取引を終えています。
9/8は翌9日に北朝鮮の建国記念日を控え、新たな弾道ミサイルの発射や核実験などの挑発行動の実施が懸念されていただけに、週末のポジション調整が進んだことで、米10年債利回りも昨年11/9以来10ヵ月ぶりの低水準となる2.01%台まで低下するなど、安全資産への資金逃避が顕著になった一日でした。
しかし、その週末に北朝鮮の挑発行動は見られず、さらに国連安保理での制裁決議も、当初の原油禁輸措置や金正恩の資産凍結などの厳しい措置を緩和することに米国が譲歩したため、中国やロシアも含めた全会一致での採択に至ったことも円高・株安からの反発に大きく寄与しました。
ナスダックは9/19に6,461ポイントまで上昇し史上最高値を更新、NYダウも翌20日に22,412ドル、S&Pも2,508ポイントまで上昇、それぞれ史上最高値を更新しました。
日経平均も先週21日に20,481円となり、ザラ場での年初来高値を更新したほか、25日の終値は20,297円と2015年8月以来2年1ヵ月ぶりの高値まで上昇しています。そしてドル円も9/8の107円32銭の下値から、21日には112円71銭まで円安が進みました。
日経平均株価 推移(日足)
- ※出所:Quants Research Inc.
日経平均の日足チャートを見ると、7/19に5日移動平均線が25日移動平均線を下回るミニ・デッドクロスとなっていた流れが9/14に終止符を打ち、ミニ・ゴールデンクロス(5日移動平均線が25日移動平均線を上抜け)を達成、その後も堅調な値動きとなっています。
米ドル/円 推移 (日足)
- ※出所:FX総合分析チャート
また、米ドル円は7/11の114円49銭の高値から9/8には107円31銭まで下落しました。
日足チャートでは7/19に5日移動平均線が25日移動平均線を下回るミニ・デッドクロスとなり、9/1に一時的にミニ・ゴールデンクロスを達成しています。この時は一日限りの現象に終わりましたが、9/14にはあらためてミニ・ゴールデンクロスを達成しており、ドル円と日経平均の5日移動平均線と25日移動平均線のデッドクロス、ゴールデンクロスが偶然にも同じ日に達成したことになります。
今後の日米中政治イベントは?
北朝鮮情勢を巡る緊張に対する懸念は依然として残りますが、米国が先の国連安保理での制裁決議で中国やロシア側の方針に譲歩した裏には、水面下での様々な政治的駆け引きが存在していた可能性が取り沙汰されています。
万が一、軍事衝突となれば勝者なき無益な衝突になる可能性や、斬首作戦が成功したとしても核拡散が守られるという確信も持てず、何らかの譲歩が必要だったことも想像に難くありません。
そして衆院解散を明言した安倍首相ですが、10/18の中国共産党大会で習近平国家主席の権力基盤が強化され、10/22の衆院選で安倍政権も信認され政権基盤が盤石になるのかが注目されます。
そしてトランプ大統領が11/4-11/5の日程で来日し、安倍首相と北朝鮮情勢を話合うと思われるだけに、11月になれば北朝鮮情勢に新たな進展がみられるのかもしれません。また、近い時期にトランプ政権が税制改革の骨格について言及することで税制改革議論が進展すれば、米長期金利の上昇、米ドル高につながる可能性もありそうです。
さらに9/20のFOMCでは、16人の委員の内、12人の委員が年内の追加利上げを支持しているとされ、こうした中で税制改革議論が進展することになればドル円上昇のサポートになるかもしれません。
過度な悲観が消え、ファンダメンタルズ中心の相場に戻るようなことになれば「9月8日が円高・株安の底だった」と振り返る日が来るかもしれません。