6月米雇用統計 結果を確認
米雇用統計結果
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | |
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非農業部門 就業者数(万人) | 21.6 | 23.2 | 5.0 | 17.4⇒20.7 | 13.8⇒15.2 | 22.2万人 |
失業率(%) | 4.8 | 4.7 | 4.5 | 4.4 | 4.3 | 4.4% |
時間給賃金 前月比(%) | 0.2 | 0.3 | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2% |
時間給賃金 前年比(%) | 2.6 | 2.8 | 2.6 | 2.5 | 2.4 | 2.5% |
- ※出所:米労働省
7/7(金)に発表された米6月雇用統計は、就業者数が22.2万人増と予想を大きく上回りました。前回、前々回の就業者数も2ヵ月分の合計で4.7万人、上方修正されました。その結果、1-3月期の月平均16.6万人増から、4-6月期は19.4万人増へと改善が進みました。
一方、失業率は4.4%となり前月(4.3%)から悪化したものの、FRBが完全雇用とみなしている4.6%を依然として下回っており、大きな懸念材料とはなりませんでした。
また、米経済の低インフレ状態は一時的であるとして、6月に0.25%の利上げに踏み切ったFRBですが、年後半の金融政策の行方を予想する上で注目された時間給賃金は、前月比+0.2%、前年比+2.5%といずれも予想を下回る結果となりました。
就業者数の改善が顕著である一方、時間給賃金が伸び悩んでいる背景としては、労働力人口の構成や産業構造に変化が生じていることが考えられます。
実際、2015年半ば以降、製造業では賃金が伸び悩んでいるものの、平均時給は26ドル台を維持しています。しかし外食分野などのサービス産業では依然14ドル台と低迷を続けており、時間給賃金が産業界全体に渡って底上げされる状況には至っていません。
米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)
- ※出所:米労働省
米国の2%インフレ目標と現状が乖離を広げてしまっているのは、携帯電話の格安プランや薬価引下げといった特殊要因が関係しているとの見方があるものの、実際、時間給賃金が横ばいで推移している現状では、先行きのインフレ上昇期待に明確な根拠が見えてきません。
来年2月にも退任が予定されるイエレンFRB議長は、自身の幕引きに向けてバランスシートの縮小を年内にも着手しようと、準備に余念がないようですが、先々の物価上昇に確信が持てないだけに利上げを急ぐ必要はない、といった意見も少なくないようです。
7/12(水) - 13(木) のイエレンFRB議長証言で利上げのヒントは得られるか?
イエレンFRB議長は今週7/12(水) - 13(木) に、半期に一度の金融政策についての議会証言を上下両院で行います。この席で景気や物価見通しのほか、年後半の金融政策の方針として物価重視型(利上げ)、景気重視型(バランスシート縮小)のどちらに比重を置くのか、議長の発言からヒントが得られるかもしれません。
また、欧州や英国、さらにはカナダでも緩和政策から正常化への転換期に差し掛かっており、FRBの方針が注目されます。
米消費者物価指数(コア) 前年比(%)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
また、今週7/14(金)には米6月小売売上高と、消費者物価指数が発表されます。消費者物価指数(コア)の前年比を見ると、今年1月の+2.3%をピークに低下傾向が明らかで、2%の物価目標の回復が急がれるところです。イエレン議長が繰返し述べる「低インフレは一時的」との確信が得られない中で、年内の追加利上げを正当化できる結果が出るのか注目です。