2/10(金) 日米首脳会談 開催
2/3(金)に来日したマティス米国防長官と安倍首相との会談では、日米同盟の重要性を確認したほか、沖縄・尖閣諸島を巡る日米安保条約・第5条の適用範囲(対日防衛義務)についても明言されました。
日本側が懸念していた在日米軍の駐留費上積みについての要求は聞かれず、米軍駐留費については「日本は他国の鏡である」と称賛されるなど、大きな波乱はなく会談を終了しています。
2/10(金)のワシントン、2/11(土)のフロリダ・パームビーチで実施される日米首脳会談に向けては、日本側は何らかの「お土産」を用意し、日米首脳によるパートナーシップ構築の達成が目標になりそうです。
1月 米雇用統計の結果は? 発表後、3月FOMCの利上げ確率は10%を割り込んだ
2/3(金)に発表された1月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想を上回る22.7万人増となった一方、時間給賃金の伸びは鈍化し、3月FOMCでの利上げは不透明な情勢となっています。
1月 米 非農業部門雇用者数(万人)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
1月 米 時間給賃金 前年比 (%)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
時間給賃金は市場予想(+2.8%)を下回る前年比+2.5%となり、前月の+2.8%(速報値の+2.9%から下方修正)から低下したほか、前月比でも+0.1%となり伸び悩む結果でした。
就業者数や失業率は、リーマンショック前の水準を上回るまで改善が進んでいるものの、時間給賃金は当時の前年比3%台半ばに比べ依然低い水準に抑えられています。
こうした結果から3月FOMCでの利上げ確率は雇用統計前の18%から10%を割り込む水準まで低下し、ドル円も発表直後こそ就業者数の増加を好感して、113円50銭まで反発したものの、その後112円31銭まで下落し、上値の重い展開が続いています。
日米首脳会談 メインの議題は通商問題か!?
日米首脳会談で最も関心が高いのが通商問題ですが、昨年1月〜11月分までの米国の国別貿易赤字を見ると中国が47%と全体の約半分を占めています。これに次いで日本とドイツ、メキシコがそれぞれ9%、次いでアイルランドの5%、ベトナムの4%と続き、その他諸国で17%といった構成になっています。
米国の国別貿易赤字額 割合 (昨年1月〜11月分まで)
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
これまでトランプ大統領は中国のほか、日本、ドイツ、メキシコを名指して自国通貨安への誘導を行っていると批判してきました。これらの国々はいずれも米国の貿易赤字相手国の上位となっています。
首脳会談では、日本側から提案が予想されている、「日米成長雇用イ二シアティブ」をベースに、トランプ政権の掲げるインフラ整備に日本も積極的に投資し、米国内での雇用拡大に貢献していく考えを伝える模様です。
懸念としては、通常二国間の首脳会談では事前に事務方が協議を行い、詳細についてある程度の合意形成に向けたシナリオを描くのですが、トランプ政権では現在のところムニューチン次期財務長官の議会承認も得られていません。
綿密な事前協議がないまま、本番をむかえることになるだけに、同行する麻生財務相や岸田外相、世耕経済産業相らとどのような議論になるのか予断を許さない状況にあるようです。
TPPの積極的推進派の安倍首相とTPPの永久離脱を決めたトランプ大統領ですが、二国間協議となれば米国から日本への農産物輸出について関税引き下げのほか、米国製のピックアップトラックや乗用車の輸出拡大に向けた日本側の規制緩和、さらには戦闘機などを積極的に売り込んでくるかもしれません。
日米首脳会談でドル円はどうなる?
米国の要求に対し、日本側が「検討する」といった従来通りの返答ではトランプ新政権は納得しない可能性も高いでしょう。
米国が満足する対応をしなければ、週明けの為替市場で円高・ドル安が進む可能性もあり、会談の行方が注目されます。
ドル円は1/27に115円38銭まで上昇したものの、トランプ大統領による日本を名指ししての為替操作批判を契機に112円05銭まで下落した後、反発は鈍く、2/7現在112円を割れました。
日米首脳会談が日本側の思惑通りに進み、来週以降の株高・円安の流れに戻ることができるのか、それとも111円を割れて110円を目指す展開となるのか重要な転換期を迎えています。