トランプ大統領 就任演説内容と今後の政策は?
1/20に行われたトランプ大統領の就任演説は、選挙期間中に繰り返してきた主張に戻ったかのような印象を与える、強気一辺倒で強引な印象が際立った「アメリカ第一主義」を強調する内容に終始しました。
就任演説ではインフラ投資を推し進め「権力を政治家から国民に戻す」といった、米国のポピュリズムを再燃させるかのような内容となりました。
スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム・ダボス会議の場で、著名投資家のジョージ・ソロス氏は、「トランプ新大統領は失敗するだろう」と切捨てるような発言もあったほか、IMFも「内向きの政策と保護主義は経済の下振れにつながるリスクがある」と警鐘を鳴らしています。
演説後にホワイトハウスのウェブサイトに掲示された方針
◇TPP撤退、NAFTA再交渉など自由貿易体制の見直し、貿易における米国の利益最優先
◇全ての税率区分で減税を計画
◇米国経済を強化、年4%の成長目標
◇今後10年で2500万人の新規雇用創出
大統領演説でドル円はどう動いた?
トランプ大統領の就任演説や、ホワイトハウスのウェブサイトでは、財政出動の具体策は示されませんでした。
そのため、米長期金利の上昇が見込みにくく、日米金利差の拡大も限定されるとの見方が広がりました。
大統領選以降の円安・ドル高の流れが調整を迎える懸念もあり、ドル円は先週末の115円38銭を高値に、1/23(月)早朝の東京市場で昨年11/3以来となる一目均衡・日足の雲に突入しています。
- ※出所:FX総合分析チャート日足
トランプ新政権 今後のスケジュールは?
トランプ新政権は、今年後半以降に大型減税や規制緩和を実現できるか、さらに政策運営における議会との調整が「鍵」となるかもしれません。
まず、2/6にトランプ大統領から議会へ予算方針報告の提出が予想されています。
この報告に対して議会の各委員会が意見を述べ、3月以降、上下両院の予算委員会が現実的な予算案に落とし込み、4/1までに本会議に提出する段取りとなります。
予算方針の動きと同時に注目されるのが、3/15に期限を迎える2015年10月に決定した国債発行枠の拡大についての議論です。再度債務上限を引き上げるのか、議会の運営次第では紛糾する可能性もあり注意が必要です。
こうした流れを踏まえ、4/15の期限までに議会で予算決議案をまとめることができるのか、トランプ新大統領の議会運営の手腕が問われることになりそうです。
さらに、4月末までに米財務省から為替報告書が示されます。
人民元、円、韓国ウォンなど前回の報告書で「監視リスト」に入った通貨に対して、どのような見解が示されるのか注目です。