米12月雇用統計 結果
1/6(金)に発表された米12月雇用統計は次のような結果でした。
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前回11月雇用統計 結果 |
今回12月雇用統計 予想 |
今回12月雇用統計 結果 |
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非農業部門雇用者数 |
17.8万人⇒20.4万人 |
17.5万人 |
15.6万人 |
失業率 |
4.6% |
4.7% |
4.7% |
米時間給賃金 前月比 |
-0.1% |
0.3% |
0.4% |
米時間給賃金 前年比 |
2.5% |
2.8% |
2.9% |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット
1/6(金)に発表された米12月雇用統計は、就業者数の増加こそ15.6万人と予想(17.5万人)を下回った一方で、前月11月分が速報値(17.8万人)から20.4万人へと上方修正されました。
また、10月分は14.2万人から13.5万人へ下方修正され、直近の3ヵ月平均は16.5万人と6ヵ月ぶりの低水準となりました。全体的に7-9月期の63.6万人増から10-12月期の49.5万人増へ就業者数の伸びが鈍化していることが明らかとなりました。
しかしながら、前月11月の失業率が2007年8月以来の4.6%まで低下したほか、12月も4.7%とほぼ完全雇用の状態が続いており、就業者数が15万人を上回っていることを評価すべきかもしれません。
また、就業者数の内訳をみると製造業が11月の前月比0.7万人の減少から12月には5ヶ月ぶりに1.7万人の増加に転じるなど先々に期待を持たせる内容となりました。
米時間給賃金は上昇
- ※出所:米労働省
1/20に第45代米大統領に就任するトランプ次期政権の財政政策や減税策の具体策が発表される前にもかかわらず、今回の時間給賃金は前月比+0.4%と2014年12月以来のマイナスとなった前月(-0.1%)から改善したほか、前年比でも+2.9%と7年4ヵ月ぶりの高水準まで上昇しています。
好調な経済指標に支えられ、時間給賃金の上昇圧力が高まり始めていることが確認されたことは、12月FOMCで示された今年年末までに3回の利上げが実施される可能性との見通しを正当化する内容だったといえるかもしれません。
トランプ氏 大統領就任後のFRB理事はどうなる?
トランプ氏は「FRBが利上げを行えばドル高の弊害がある」と牽制する一方で、「イエレン議長はオバマ政権を助けるために利上げを見送っている」と低金利政策の継続を批判するなど、未だ明確でないトランプ次期大統領の金融政策に対する干渉や具体的な言及には注意が必要です。
次期政権で財務長官を務めるムニューチン氏は現状2つの空席があるFRB理事の後任人事を急ぎたい考えを明らかにしており、人選をめぐって新政権が利上げに慎重なハト派の人材を推すのか注目されます。
1/9にはシカゴ、クリーブランド、フィラデルフィア、アトランタの各地区連銀総裁がそれぞれ年3回の利上げに前向き、もしくは容認する発言をしています。さらに来年2月に任期満了を迎えるイエレン議長の処遇も新政権の注目点の一つです。
連銀総裁の直近の発言
◇クリーブランド連銀総裁 「今年3回の利上げは妥当な数値」
◇シカゴ連銀総裁 「年内3回の利上げは信じ難いとはいえない」
◇フィラデルフィア連銀総裁 「年内3回の利上げは適切だが、変更の可能性も」
◇アトランタ連銀総裁 「今年は2回の利上げ予想だが3回の利上げの可能性も」
時間給賃金の上昇が続く一方で、ハト派寄りの人事が主流派となるFOMCとなれば年3回の利上げペースが緩和回帰に修正される可能性もあり、雇用情勢の逼迫と同時に賃金インフレを警戒する必要が出るかもしれません。