FOMCでの利上げ幅はどの程度? 今後の利上げ回数は?
12/13-14(日本時間15日(木)早朝4時)のFOMCでは、FF金利先物から見たFOMCの利上げ観測が100%に達しており、0.25%の利上げが既に織込まれていることから、一部には利上げ発表を契機に今回のドル高局面が一旦終了するとの見方もあるようです。
一方で利上げ決定後、ドル高に拍車がかかるとの見方もあり、その根拠の一つとして、四半期毎に示される2017年末、2018年末の政策金利見通しが前回9月時点から一段と上方修正される可能性があることに基づいているようです。
9月FOMCでは、カンザスシティー、クリーブランド、ボストンの各連銀総裁が現状維持に反対したものの、市場の予想通り政策金利は据置かれました。さらに政策金利見通しも以下の通り下方修正されました。今回のFOMCでは、トランプ次期政権の財政政策などによってインフレ期待が上昇していることから政策金利見通しも上方修正されるとの予想もあるようです。
FOMC政策金利見通し (2016年末、2017年末、2018年末)
前回9月時点の政策金利見通しに基づけば、利上げ回数はそれぞれ2017年が年2回、2018年が年3回の予想でしたが、今回見通しが変更される可能性もあり注目です。
FOMC 6月、9月時点の実質GDP見通し(2016年末、2017年末、2018年末)
FOMC 6月、9月時点の失業率見通し(2016年末、2017年末、2018年末)
FOMC 6月、9月時点の個人消費支出(前年比) 見通し(2016年末、2017年末、2018年末)
- 出所: SBIリクイディティ・マーケット社
前回9月のFOMCでは、政策金利が据置かれたほか、一連の先行き見通しが前回6月時点から下方修正されたこともあり、為替市場ではドルが対主要通貨で全面安となり、ドル円も発表前の東京市場での102円78銭から発表後の100円36銭まで下落しました。
直近のイベントと今後のドル円相場は?
12/8のECB理事会では債券買入れプログラムの期限を従来の来年3月末までから来年12月末へ延長した一方で、来年4月以降の債券買入れを800億ユーロから600億ユーロへ減額することを決定しました。
ドラギECB総裁は会見で「テーパリング(緩和策の段階的縮小)ではない」と述べていますが、少なくともこれまでの「量」に頼る金融政策に変化があったのは明らかとされ、欧州の長期債利回りが上昇する流れが米債券市場にも波及しました。
債券から株式への資金流入が加速することで、12/9のNYダウ、ナスダック、S&P500は揃って史上最高値を更新したほか、独DAX指数も連日の年初来高値を更新となっています。
さらに、日経平均先物も19,185円で12/9の取引を終え、昨年12月末の大納会の終値(19,033円)を上抜けており、年足チャートが陽線に転換することがほぼ確実視されています。
12/9の米10年債利回りの2.4675%への上昇は、ドル円の115円台突破への支援材料となっています。ドル円は昨年高値(125円86銭)と今年安値(99円00銭)の61.8%にあたる115円60銭を上抜けており、120円到達への期待も一段と膨みそうです。(※12/12にドル円は一時116円台まで上昇)
先ほど述べたとおり、FOMCの利上げ観測は100%に達しており、利上げの有無よりも先行きのインフレや政策金利の見通しをFOMCメンバーがどのように捉えているのか、トランプ次期政権の政策期待がどの程度反映されるのかに注目が集まりそうです。
一部大手米系証券は、FRBの利上げは来年3回あると予想しており、トランプ次期政権の財政積極化策への期待はかなり高まっているようです。FOMCは今週最大のイベントとなりそうです。