米11月雇用統計 結果まとめ
12/2(金)に発表された米11月雇用統計とFOMCでの利上げ観測は次のような結果でした。
非農業部門就業者数 | 予想を上回る17.8万人、前月が下方修正、前々月が上方修正 |
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失業率 | 4.6%と2007年8月以来の改善の一方、労働参加率は62.7%と前月から低下 |
時間給賃金(前月比) | -0.1%と2014年12月以来のマイナス |
総労働所得 | 前月比±0.0%、9月(+0.7%)、10月(+0.6%)から鈍化 |
広義の失業率(U-6) | 9.3%と2008年4月以来の低水準、27週超の長期失業者率も改善 |
12月FOMCでの利上げ観測 | 「+0.25%」は否定されず、利上げ予想は変わらず |
非農業部門就業者数こそ予想(17.5万人)を若干上回る17.8万人だったものの、前月10月分が(16.1万人⇒14.2万人)へ下方修正されました。一方で、9月分は(19.1万⇒20.8万人)上方修正されるなど、就業者数増は予想された範囲内となりドル円は指標発表直後に114円21銭まで反発しました。
また、失業率は4.6%と2007年8月以来の低水準まで改善した一方、労働参加率は前月の62.8%から62.7%へ低下したことからヘッドラインが与える印象ほど雇用は強くない、と市場は捉えたようです。
加えて、時間給賃金の前月比も‐0.1%と2014円12月以来、約2年ぶりのマイナスとなったこともあり、総労働所得は前月比±0.0%と9月(+0.7%)、10月(+0.6%)から鈍化しました。
米 雇用統計 非農業部門 就業者数 推移(万人)
※出所:米労働省
米 失業率推移(%)
※出所:米労働省
米 時間給賃金 前月比 (%)
※出所:米労働省
就業者数の内訳をみると製造業が前月比-0.4万人と4ヵ月連続で減少した一方で、建設業や天然資源・鉱業は若干改善しており、11/30のOPEC総会での減産合意を受けて、原油価格が50ドルを上回る水準で推移すれば、資源・エネルギー関連業種での就業者数は一段と改善される可能性もあるだけに、原油価格の上昇が追い風になりそうです。
米11月雇用統計では非農業部門就業者数が概ね予想通りとなり、労働市場の堅調な拡大が確認される内容となったものの、時間給賃金が予想外の下落となったこともあり、あらためてインフレ動向を見極める上でも賃金動向に注目する必要がありそうです。
12月 FOMCは12/13-14開催
トランプ次期政権の財政政策や減税策を中心にインフレ期待が高まる中で、来年以降のFRBの金融政策を占う上で、「緩やかな緩和策解除」から「積極的な緩和解除」に向かうのかを見極める上でも、12/13-14のFOMCで各委員が示す四半期毎の金利見通し(ドット・チャート)に前回9月からどの程度の変化が見られるのか注目されます。
11/29に発表された米7-9月期GDP改定値が前期比+3.2%へ上方修正されたことから、ドル円は一時114円83銭まで上昇、ドルの対主要通貨に対する騰落率を示すドル・インデックスも13年ぶりの高水準に達するなどドル高が進行しました。
今回の雇用統計での時間給賃金の鈍化が一時的な動きであり、今後も賃金上昇圧力が高まることになるのか、来年以降のFRBの金融政策の行方を占う上でも来週のFOMCに対する債券市場の反応が注目されます。