米9月雇用統計は予想を下回ったが、今後のドル円はどうなる!?
先週末発表された米9月雇用統計は、非農業部門就業者数、失業率、時間給賃金のいずれも市場予想を下回る結果となりました。しかし、民間部門の就業者数が前月の15.1万人増から16.7万人増へ改善したほか、失業率の悪化も労働参加率の増加(65.5%⇒65.7%)で説明がつくため、市場の年内利上げ観測に大きな変化が見られることはありませんでした。
米9月雇用統計予想と結果
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月市場予想 | 9月実績 | |
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非農業部門雇用者数(万人) | 14.4 | 2.4 | 27.1 | 25.2 | 15.1⇒16.7 | 17.0万人 | 15.6万人 |
失業率(%) | 5.0 | 4.7 | 4.9 | 4.9 | 4.9 | 4.9% | 5.0% |
米時間給賃金 前月比(%) | 0.4 | 0.2 | 0.1 | 0.3 | 0.1 | 0.3% | 0.2% |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット提供
雇用統計発表直後のドル円は、103円台後半から102円台後半へ反落、105円を目指して上昇するような強気なシナリオは実現しませんでしたが、90日移動平均(102円88銭)付近での底堅さは確認されました。
今後のドル円はどう動く? チャートで予想
※出所:FX総合分析チャート日足
ドル円は昨年末以来、90日移動平均が抵抗ラインとして機能していましたが、10月5日に上抜けて以降は下値支援(102円88銭)として意識する動きになっているほか、9月2日の8月雇用統計発表直後に付けた104円32銭を上抜けすれば、心理的な節目である105円を目指す動きとなりそうです。
米7-9月期決算もこれから本格化
今週は11日(火)のアルミ大手アルコアを皮切りに週末14日にはJPモルガン・チェース銀行など米主要企業の7-9月期決算の発表が本格化します。事前予想では前年同期比で約1%の減益となっているものの、原油価格が持ち直せば、先行きの業績見通しにとって追い風になりそうだとの予想も出ています。 (米国株式の決算スケジュールはこちら)
気になる原油ですが、露プーチン大統領による「産油量の抑制に向けた国際強調を支持」との発言に、10日(月)の原油先物価格は51ドル台へ上昇、終値ベースでは51.35ドルと実に昨年7月以来となる高値でNY市場を終了しています。
原油価格の上昇はFRBの金融政策に大きく影響するインフレ期待の上昇を支援するほか、前述の通り、米主要企業の7-9月期決算にも追い風になるとの見方もあり、FRBの年内利上げが正当化される一因となりそうです。
米大統領選はTV討論会2回目を終え、選挙まで1ヵ月を切った
10/9(日)に行われた第2回目の米大統領TV討論会を終え、両候補の支持率はクリントン候補47.5 対 トランプ候補42.9となったほか、共和党のライアン下院議長が今後トランプ候補を応援しない意向を表明するなど、女性蔑視問題で揺れるトランプ候補の支持率は伸び悩んでいます。
※出所:bloomberg
11/8(火)の本選まで4週間、19日(水)で最後となる第3回目のTV討論会でトランプ候補が巻き返しを図れたとしても、クリントン候補優勢に変化はないとの見方が高まりつつあり、政治リスク懸念の後退につながることから、ドル円は堅調地合いを維持するとの見通しが広がりそうです。
トランプ候補が大統領に就任する現実味が一段と後退すれば、ドル円は11月8日の本選の結果を受けて105円台を回復し、さらに年内利上げを織り込みながら、長期債利回りが本格的に上昇するようなことになれば、年末に向けて7月21日に付けた107円49銭を目指すような展開もあるかもしれません。