日銀とFOMC関係者の発言から政策を予想
今月の最大イベントである日銀政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)が今週20−21日に開催されます。
日銀は今までの異次元緩和の「総括的な検証」を踏まえて、マイナス金利の深堀りを今後の金融緩和の軸に据える方針と伝えられています。 現在のマイナス0.1%の金利のさらなる引き下げを検討することになりそうですが、今回の会合での追加緩和の有無については市場の見方が分かれており、結果によっては相場の波乱要因となりそうです。
今回のFOMCでは利上げを見送る可能性が高そうですが、四半期に一度のスタッフ見通し(SEP)の公表やイエレン議長の会見が予定されており、年内に利上げを行うメッセージを強めに出すのかどうかが注目されています。
ここで注目の2つのイベントを前に現状分析をしたいと思います。
日銀政策決定会合では具体策が打ち出されるのか?
先日の黒田総裁と中曽宏副総裁の講演や、最近の報道内容から20−21日の日銀金融政策決定会合での異次元緩和の「総括的な検証」に関する議論の内容がかなり見えてきました。 発言と結論をまとめると以下のようになります。
今回は日銀が追加緩和を見送るとみている市場参加者も多いようです。確かに直近の景気ウオッチャー調査や機械受注などの指標は改善しており、追加緩和を是が非でも実施する緊急性は見当たりません。将来的な円高に備え、少ないカードを温存するためにも、今回は検証・総括の発表だけに留め、実際に行動を起こすのは今後の展開を見極めてからという考えです。
一方で、ブルームバーグ・サーベイでは、半数以上の回答者が追加緩和の実施を予想しており、手段としてマイナス金利の10bpの深掘りを予想する向きが最も多いようです。
市場の予想が分かれていることを考えると、今までと変わらず足元でも日銀の市場との対話がまだ十分だとは思われません。政策発表後、失望売りなど急激な反応を伴った相場展開になることも考えられます。
年初来からのドル/円チャートは?
出所:FX総合分析チャート 日足
年初来からのドル/円 日足チャートは、日足の雲や75日移動平均線が強い抵抗線として上値を抑えています。足元では、米株安や新興国株下落などリスク回避の兆候もあり、日銀会合の結果を待った上での持高調整的な円高リスクが高まってきています。
FOMCはどう動く? これまでのFRB高官の発言まとめ
イエレンFRB(米連邦準備理事会)議長やフィッシャー副議長の発言では、9月利上げの可能性が急浮上する局面がありましたが、その後、予想を大幅に下回った非製造業ISM景気指数など、経済指標に鈍化傾向が見られたこともあって利上げを見送る可能性が高いようです。
今回の会合では四半期に一度のスタッフ見通し(SEP)の公表やイエレン議長の会見が予定されており、年内に利上げを行う可能性を強めに示すのかどうかが注目されています。
もし21日のFOMCで利上げが決定されればサプライズは大きいものになるでしょう。また利上げが見送られた場合でも、その後の議長会見などで景気や雇用に強気の見方が示されれば、年内利上げを織り込みに向かうようなドル買いが一時的に強まる可能性もあります。
注目は政策予想分布図(ドットチャート)となりそうです。年末の中央値が年1回の利上げとなった場合は織り込み済みとなり、材料出尽くし感からドルの上値が押さえられる可能性が高いと考えられます。また長期の中立FF金利が下がっていた場合は、目先の利上げ期待よりも、先行きの慎重姿勢が強く意識され、米長期金利の利回り低下を通じて、これもまたドル上昇の抑制要因となるでしょう。やはり現状では米金利上昇は長く続かないと考える見方が優勢であり、最近の長期金利上昇の巻き戻しが起こり、金利低下となってドル売り地合いが強まる動きに警戒しておくのが無難と考えられます。
最近のFRB高官の発言(タカ派とハト派の意見の対立は熾烈となっている)