米1月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
2/5(金)22:30(日本時間) |
前回値 |
+29.2万人 / 5.0% |
事前予想 |
+19.0万人 / 5.0% |
今回の市場予想は、過去3ヵ月の結果から見てもかなり消極的と考えられる。ある程度想定しての予想と推測すれば、今回の結果が市場予想よりも低下する場合には、“世界的な金融情勢の不安定さ”の影響が出ているとの懸念が・・・
前回発表時(1/8)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
米労働省が1/8に発表した12月の米雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が市場予想の+20.0万人を大きく上回る+29.2万人となり、失業率は7年半ぶりの低水準となる5.0%を維持した。また、非農業部門雇用者数の直近3ヵ月の平均は、前月時点の+22.1万人から+28.4万人に増加し、安定的な雇用の目安とされる+20万人を大きく上回る結果となった。この結果を受けて、ドル/円は発表直後に上昇したものの、平均賃金が6ヵ月ぶりに横ばい(前月比0.0%)だったことや、原油価格の下落、米国株がマイナスに転じたことも影響して、その後は比較的安全資産とされる円を買い戻す動きが優勢となった。また、事前に発表されていた民間のADP雇用統計など、雇用関連の経済指標が堅調な結果となっていたこともあり、上昇したところでは一旦利益を確定させる動きも見られた。
図:前回発表時の振り返り
※出所:FX総合分析チャート
民間部門の雇用者数は+27.5万人、政府部門は+1.7万人とプラスとなった一方、原油や金属など1次産品価格の下落の影響を受ける鉱業は減少となった。業種別にみると、前月から伸びた業種はサービス業が+23.0万人、製造業は+0.8万人となり、サービス業は全体の伸びの大半を占めた。前月から伸びが縮小した業種は、流通が+0.3万人、小売りが+0.4万人、レジャーが+2.9万人、金融が+1.1万人、建設業が+4.5万人となった。なお、昨年10月の非農業部門雇用者数の伸びは、当初の+29.8万人から+30.7万人に、11月は+21.1万人から+25.2万人に上方修正された。
時間当たり賃金は25.24ドルと前月の25.25ドルから減少、平均週間労働時間は34.5時間と横ばいだった。また、労働参加率は62.6%と前月の62.5%から上昇したものの、依然として約40年ぶりの低水準に留まっている。
表:統計結果と今回の市場予想
|
1月市場予想 |
12月 |
11月 |
10月 |
9月 |
8月 |
7月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.0 |
5.0 |
5.0 |
5.0 |
5.1 |
5.1 |
5.3 |
非農業部門雇用者数(万人) |
19.0 |
29.2 |
25.2 |
30.7 |
14.5 |
15.3 |
22.3 |
民間部門雇用者数(万人) |
18.0 |
27.5 |
24.0 |
31.2 |
16.5 |
12.5 |
19.5 |
製造業部門雇用者数(万人) |
-0.2 |
0.8 |
0.2 |
0.3 |
-0.8 |
-1.9 |
1.1 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は2/2現在の予想平均値
1月のFOMCでは、政策の変更はなかったものの、声明はハト派的な内容となった。特に、昨年8月に続き、世界的な金融情勢の不安定さが再び懸念材料となっており、「世界の経済・動向を注視している」との声明から、年4回程度と予想されていた米利上げのペースがさらに緩やかになるとの見方も出ている(昨年9月に利上げを見送った経緯がある)。そして、「労働市場やインフレに及ぼす影響を見極めている」とし、今後の雇用統計の結果は、具体的な数字でどの程度の影響が出ているのかという判断材料になるだろう。
今回の市場予想は、過去3ヵ月の結果から見てもかなり消極的と考えられる。ある程度想定しての予想と推測すれば、今回の結果が市場予想よりも低下する場合には、“世界的な金融情勢の不安定さ”の影響が出ているとの懸念が強まる可能性も考えられることから、結果の下振れには注意が必要だろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成