12月米利上げ開始に向けた今後の注目点

11/4イエレン議長が下院議会で『データ次第では12月利上げ開始の可能性がある』と証言した翌々日、11/6に発表された10月の米雇用統計が極めて強い結果となったことで、次回FOMC(12/15-16)での利上げ観測が一層高まっています。米・2年債利回りは、0.94%と5年半ぶりの水準まで上昇したほか、昨晩はNY金先物価格が5年半ぶりの安値となる1,084.90ドルまで下落するなど、債券・商品市場でも12月の利上げを織り込む動きを固めつつあるようです。
今週も先週に続き、ニューヨーク、アトランタ、クリーブランドなど各地区連銀総裁の講演が予定されており、FRB委員の利上げに向けた足並みが揃いつつあるだけに、株式・債券市場の反応が注目されます。さらに、今週11/19早朝（日本時間午前4:00）に10月FOMC議事要旨が公表されますが、声明文以上に12月の利上げに踏み込んだ明確なサインが示されているか注目されます。
先週（11/9〜13）のNYダウは、週間ベースで665ドル（-3.7％）もの大幅下落となるなど、利上げ観測の高まりが嫌気された格好となりました。今週も12月利上げ観測を背景にNY株の調整が続くのか、一段落するのか、仏での同時多発テロの影響も懸念されるだけに、FOMC議事要旨に対する市場の反応には注意が必要かもしれません。さらに約2週間後の12/3の経済合同委員会と12/4の下院・金融委員会ではイエレン議長による議会証言が予定されているだけに、それまでに債券・株式市場が利上げを織り込んで落ち着きを取り戻すことができているのか、確認する上でもしばらくは目が離せない展開が続きそうです。

今後、市場が一段とFRBの12月の利上げ開始を織り込んでいった場合には、2016年末までの(1)利上げのペース (2)利上げの回数 (3)目標金利水準などを、各FRB関係者の発言から探ることになりそうです。
ドル円は今年これまでの高値である6月の125円87銭を上抜けていくのか、利上げを織り込んだことによる材料出尽くし感からドル売りに転じてしまうのか注目されます。先週一時1.0674ドルまで下落したユーロは、今回の仏での同時多発テロを受けた欧州経済への影響も含め、想定されている以上の緩和策の必要性に迫られることになるのか、FRBの12月利上げ開始観測とともに注目です。