米10月雇用統計 (非農業部門雇用者数前月比/失業率 等) |
発表時間 |
11/6(金)22:30
(日本時間) |
前回値 |
+14.2万人 / 5.1% |
事前予想 |
+18.0万人 / 5.1% |
小幅ながら改善が続いている失業率は、12月までに5.0%台の大台を下回る結果となるかが注目されており、完全雇用とされる5.0%を下回ることが条件の一つとなるだろう。また、非農業部門雇用者数は・・・
前回発表時(10/2)の主要通貨の動きをチャートで振り返る
米ドル/円
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/円
※出所:FX総合分析チャート 15分足
ユーロ/米ドル
※出所:FX総合分析チャート 15分足
雇用統計直前予想レポート
10/2に発表された9月の米雇用統計では、失業率が前月と変わらずの5.1%と、2008年4月以来の低水準を維持したものの、景気動向を敏感に映す非農業部門雇用者数が+14.2万人となり、市場予想の+20.0万人を大きく下回る結果となった。8月に続いて堅調さの目安とされる+20万人に届かず、春先の3-4月以来となる2ヵ月連続の+20万人割れとなった。雇用改善が減速した背景には、中国経済の鈍化に端を発した世界経済の減速が影響していると考えられる。この結果を受けて、ドル/円は120.33から118.68まで下落する動きとなった。ただ、10月の利上げ開始の可能性がなくなったものの、年内の可能性はまだ残っており、今後の指標結果次第とのやや楽観的な見方も出ており、その後は再び120円台まで値を戻す動きとなった。
図:米ドル/円 5分足
※出所:FX総合分析チャート
非農業部門雇用者数は、8月が+17.3万人から+13.6万人に、7月が+24.5万人から+22.3万人にそれぞれ修正され、2ヵ月で5.9万人の下方修正となった。そして、7-9月の3ヵ月平均は+16.7万人となり、前月時点の+22.1万人から大きく低下し、堅調な雇用増加とされる目安の+20万人を下回った。
民間部門の雇用者数は+11.8万人、製造業は-0.9万人、エネルギー価格の下落が影響している鉱業は-1.2万人と9ヵ月連続で落ち込んだ。サービスは+13.1万人と前回からやや伸び幅が拡大した。そして、フルタイムで働きたいのにパートの仕事しか見つからない人や、求職活動を諦めた人を含めた広義の失業率(U6)は10.0%と、前月から0.3ポイント低下した。失業期間が半年以上の長期失業者は、前月比-8.3万人の210.4万人(前月218.7万人)と改善し、全体の26.6%(前月27.7%)を占めた。しかし、1時間当たりの平均賃金は25.09ドルと前月から0.01ドル低下、管理職を除いたベースでは21.08ドルと横ばいとなった。また、平均週間労働時間が前月の34.6時間から34.5時間に小幅縮小したことから、週間の平均賃金はいずれも低下した。
表:統計結果と今回の市場予想
|
10月市場予想 |
9月 |
8月 |
7月 |
6月 |
5月 |
4月 |
3月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
失業率(%) |
5.1 |
5.1 |
5.1 |
5.3 |
5.3 |
5.5 |
5.4 |
5.5 |
非農業部門雇用者数(万人) |
18.0 |
14.2 |
13.6 |
22.3 |
24.5 |
26.0 |
18.7 |
11.9 |
民間部門雇用者数(万人) |
16.5 |
14.2 |
10.0 |
19.5 |
21.8 |
25.2 |
18.9 |
11.7 |
製造業部門雇用者数(万人) |
-0.5 |
-0.9 |
-1.8 |
1.1 |
0.1 |
0.6 |
0.0 |
0.6 |
※出所:SBIリクイディティ・マーケット作成
※市場予想は10/30現在の予想平均値
雇用統計の結果は、金融政策の方向性を決定する重要な要素の一つであり、単月の結果で判断されることはないだろう。ただ、3ヵ月平均が、前月から大きく低下し、堅調な雇用増加とされる目安の+20万人を下回ったことで、明らかに雇用の鈍化傾向が示される結果となっている。このことから、当然10月のFOMCでの利上げ開始は見送られたが、声明で雇用の減速も示されており、年内(次回のFOMCは12/15-12/16)の利上げの可能性も低下し、来年に持ち越されるとの見方も出ている。
最近の雇用統計を含む米経済指標の鈍化傾向は、中国経済の鈍化に端を発した世界経済の減速が影響しており、これが一時的だったと判断されるような結果が次回FOMCまで続くなら、年内の利上げの可能性も再び高まるだろう。そのため、今回の雇用統計の結果がマーケットで重要視されていると考えられる。
失業率は、5.051%と前月の5.112%からわずかに低下(四捨五入では5.1%の横ばいとなった)し、実質4ヵ月連続の改善となっている。小幅ながら改善が続いている失業率は、12月までに5.0%台の大台を下回る結果となるかが注目されており、完全雇用とされる5.0%を下回ることが条件の一つとなるだろう。また、非農業部門雇用者数は、単月の結果も当然注視されるが、安定的な雇用の伸びとされる+20万人を前回下回っている3ヵ月平均(+16.7万人)の改善にも注目する必要があるだろう。
米雇用統計 非農業部門雇用者数月次推移(米労働省発表)
- ※乖離=実績値-予想値
- ※左軸:実績値、予想値 右軸:乖離
- ※Market Win24のデータを元にSBI証券が作成