ギリシャ・緊縮財政策反対多数の結果を受けた今後の注目点
ELA(緊急流動性支援)がギリシャの命綱
ギリシャの債務は7/10に償還となる短期国債の20億ユーロのほか、13日に4.5億、17日に10億、20日にはECBが保有するギリシャ国債償還(35億)など、7月だけで約70億ユーロの資金返済のほか、6月末に期限到来済のIMFへの返済(15億ユーロ)も滞っています。ギリシャは年末までに約250億ユーロの資金の返済が必要で、この先仮に返済が順調に進んだとしても債務返済は2050年まで続くことになります。すなわち、問題の長期化は避けられず、観光が主要産業のギリシャにとって、新たな産業が育たなければ債務地獄が続くことは明白です。7/7以降に債務支援交渉が再開されたとしても、6/30に失効した第2次支援プログラム(72億ユーロ)の復活を望むギリシャにとって、有利な交渉結果を得ることは容易ではなさそうです。
債務支援交渉再開へ
こうした中、ECBはギリシャへの銀行に対するELA(緊急流動性支援)を現状のまま維持する方向で調整(7/6時点)されるようですが、この支援が終了すれば預金封鎖や銀行倒産という事態が想定されるだけに、いわゆる命綱の役割を担っています。
2013年6月、EUはキプロスに100億ユーロの資金支援を行う代わりに、預金者へ資産税を課すなどの預金者負担を求めました。こうした何らかの国民負担を強いることで支援の継続を求めることも、選択肢の一つになるかもしれません。
緊急流動性支援
ユーロ安定のカギを握る?ユーロはどこまでギリシャに譲歩するのか?
仮にギリシャがユーロ圏から離脱、通貨ドラクマを復活させるようなケースはどうでしょうか?
信用力が失墜したギリシャ通貨とユーロとの交換比率は、著しく高く設定されることが想像されます。新ドラクマであれ、ギリシャは新通貨を発行する際の信用力の担保のために有効となる「金」を世界30位の112.5トン保有しています。今後ギリシャが「金」準備を盾にユーロ圏から離脱の道を選択し、ユーロから距離を置くことになるのか注目です。今回の国民投票の結果を受け、ユーロ圏からの離脱が容易になり、離脱が経済的優位性を保てる、ということにでもなればユーロの存続にも影響を及ぼしかねません。年末にはスペインの総選挙を控え、今後ギリシャがユーロ圏離脱の選択をした場合、スペインをはじめ他のユーロ圏諸国に影響を及ぼす懸念もあり、通貨ユーロの地位安定がドイツをはじめ、ユーロ圏主要国の今後の課題となるかもしれません。
今週中に開催されるユーロ圏首脳会合を経て、ギリシャとの支援交渉がどのような進展となるのか、カギを握る債権団がどこまでギリシャ側の主張に譲歩することになるのか注目されます。さらに混乱の長期化、金融市場の動揺が広がることになればFRBの金融政策変更にも影響を及ぼす可能性もあるだけに今後の動向が注目です。
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