前回12月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、量的緩和の終了を決めた10月の会合に次ぐ会合だっただけに予想通り金融政策の変更はありませんでした。注目されていた声明文のフォワードガイダンスは、『相当な期間』という文言が『辛抱強い』に変更されましたが・・・
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FOMC 政策金利 |
発表時間 |
1/28(水)28:00(日本時間) |
前回発表時(12月17日)の振返り(米ドル/円 15分足)
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
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前回12月16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、量的緩和の終了を決めた10月の会合に次ぐ会合だっただけに予想通り金融政策の変更はありませんでした。注目されていた声明文のフォワードガイダンスは、『相当な期間』という文言が『辛抱強い』に変更されましたが、『相当な期間』とは整合的であるとの一文が併記され、“『相当な期間』緩和的な状況が続く”から“金融政策への正常化を『辛抱強く』待つ”への変化は、実質的には限定的なものと捉えて良さそうです。会合後の記者会見でイエレン議長もフォワードガイダンスの修正が、当局の意向の変化は意味しないとも述べています。FRBウォッチャーも1月7日公表された前回FOMC議事録から、『辛抱強い』とは“次回や次々回の会合での利上げはなし”、“政策の柔軟性を齎すための効果”程度の変化でしかないと判断しているようです。
12月中に発表された米経済指標は、上旬5日の市場予想を大幅に上回る非農業部門雇用者数の増加を見た11月の雇用統計に象徴されるように、前回の会合後も堅調な結果を伴う指標発表が目立ちました。とりわけ12月23日に発表された第3四半期GDP(確定値)は、予想を大幅に上回る5%となるなど、指標結果を素直に評価すればもう一段のドル上昇があってもおかしくない状況でした。しかし、実際に大きくドル買いとなったのは、12月5日の雇用統計、17日のFOMC声明、そしてGDP発表の後の数回に限られました。当初、原油価格の大幅下落がロシアやユーロ圏を中心に負の影響が及ぶとされていましたが、想像を超えた原油価格の大幅下落が世界景気までも後退させ、唯一成長を続ける米経済の先行きにも悪影響を与え始めるとの認識が広がったことも、さらなるドル買いに警戒感を持たせたる要因になったと考えられます。
1月に入ってからの指標は、12月とは一変して米景気の足踏みを示唆するような結果も目に付くようになり、1月9日発表の雇用統計にしても僅かに予想値は超えたものの非農業部門雇用者数は前月から大幅に減少、14日の12月小売売上高が予想を大きく下回り、16日の12月消費者物価指数は2008年12月以来となる大幅な下げ幅となるなど、やはり原油安の影響が米経済にも及ぶとの見方をまさに実証した一例となりました。連日、史上最高値を更新し続けてきたダウ平均やS&P500の上昇にも陰りが出始めています。こうしたことから、今年6月がコンセンサスになり始めていたFRBの利上げ時期も年末まで後ずれするとの見方に変化しています。
上述した前回FOMC議事録公表後のFRBウォッチャーの見方を真に受けるわけにはいきませんが、20日付けのウォール・ストリート・ジャーナル電子版は「FRBは年内(later this year)に利上げを開始する軌道に乗っている」との見出しを掲げながら、市場が年央に利上げがあるとしていた見方が年末に修正され始めていると報じています。今回のFOMCでは、今年入れ替わった4人の投票権を持つ地区連銀総裁メンバーの多くがハト派寄りとされていることも投票結果に影響があるかも知れません。取り敢えず今回27〜28日は、利上げ時期を明らかにするというよりも次々回3月のFOMCを踏まえ、現状認識や声明の内容変化に注目することになりそうです。
FOMCとは
日本でいう日銀の金融政策決定会合に相当する委員会のことで、現在の景況判断と公開市場操作(政策金利の上げ下げや為替レートの誘導目標)の方針が発表され、アメリカの株式市場や為替レート、世界の金融マーケットに大きな影響を与えます。基本的に6週間ごとの火曜日、年に8回開催されます。