欧州 政策金利 |
発表時間 |
1/22(木)21:45(日本時間) |
前回値 |
0.050% |
事前予想 |
0.050% |
12月4日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会は、主要政策金利のリファイナンス金利を0.05%、上限となる貸出金利を0.30%、下限となる預金金利を▲0.20%に据え置きました。資産購入方針にも変更はありませんでしたが、市場の国債買い入れを含む追加金融緩和への期待感は、この時すでに充分に高まっていました。そうした状況を裏打ちするように・・・
前回発表時(12/4)のユーロ/円の動きをチャートで振り返る
- ※出所:FX総合分析チャート 15分足
今回のポイントを事前チェック!
12月4日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会は、主要政策金利のリファイナンス金利を0.05%、上限となる貸出金利を0.30%、下限となる預金金利を▲0.20%に据え置きました。資産購入方針にも変更はありませんでしたが、市場の国債買い入れを含む追加金融緩和への期待感は、この時すでに充分に高まっていました。そうした状況を裏打ちするように理事会後の会見でドラギ総裁は「来年(2015年)に向けた追加措置をとるのかどうか、来年早い時期に決定する」との発言をしています。市場は当然ながらドラギ総裁のこの発言部分を大きく取り上げ、メディアも“ECBは来年初めにも量的追加緩和の可能性”などの見出しを躍らせました。ただ実際には、“次回の会合(1月22日)でそうした準備が整うか”との直接的に問いただした記者に対し総裁は、「次の決定時期について私から言質を取る目的なのだろうが、それは出来ない、『早い時期』は『早い時期』の意味であり、次回会合と言う意味ではない」としており、ドイツを筆頭にした追加緩和策に前向きでない関係筋に対する気配りや市場に確信を持たせることを避ける意図もあったと思われます。尚、ECBは同日公表した四半期毎の景気・経済見通しを下方修正し、ユーロ圏経済の先行きに対する慎重姿勢を強めました。
前回の会合以降、12月に発表されたユーロ圏の経済指標には比較的良好な結果が目立ちました。特に16日に発表された欧州製造業PMI, 12月の独ZEW景況指数がともに前回・予想値を上回り、さらに10月のユーロ圏貿易収支も予想を大きく超える黒字幅になるなど、原油価格の下落が続く中でドルが一時的に売られる局面と重なったこともあり、ユーロは理事会後の下値1.22ドル台から1.25ドル台に上昇する場面もありました。この時点で一時的ながら1月の理事会で量的緩和に至る可能性が小さくなったとの見方も広がりました。しかし、原油価格の下落が続きロシアルーブルが急落すると、翻ってユーロ圏経済にも悪影響が及ぶとの見方やギリシャの政局混乱による財政破綻への懸念が再び浮上し、ユーロ売りに再び圧力が掛り始めました。さらに、ECBの2回目の条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を終えても1回目との合算額が予想中央値に届かず、既存のプログラムでは1兆ユーロのバランスシート拡大を達成するのは不可能であることも明らかとなり、もはや思い切った施策を打たなければ景気回復が望みにくいレベルに近づいているようです。さらに原油価格の下落は、ユーロ圏経済の物価下落リスク及び低インフレへの影響力を強めています。新年1月7日に発表された12月のユーロ圏消費者物価指数は、前年同月比で▲0.2%(マイナスは2009年10月以来)と原油とエネルギー価格の大幅下落が影響している象徴的な結果となりました。このため市場にはデフレ懸念が強まったとの認識が一段と広がり、量的緩和も秒読みに入ったとの見方が優勢のようです。
1月8日にドラギ総裁は、欧州議会議員に宛てた書簡の中で必要な場合には非標準的な措置を講じる用意が理事会にあると表明し、国債買い入れを含む追加措置の可能性を示したようです。過去には非常に煮詰まった状態になっていると認識されながら量的緩和に踏み切らなかった経緯もありますが、1月14日には欧州司法裁判所がECBの国債購入プログラムについて一定の条件下であれば違法ではないとの見解を示し、追加緩和への思惑がさらに高まっています。また22日の後にはギリシャの総選挙も控え、昨年までであれば2月の予定のはずだった22日の後の理事会開催が、今年から6週間ごととなった為に次回は3月5日となり、時間的な問題を考慮する必要があることも何らかの決定があるとの見通しを高めています。
ユーロ/ドル 8時間足
- ※出所:ネットダニアー
「欧州中央銀行(ECB)金融政策発表」とは
「欧州中央銀行(ECB)金融政策発表」とは、ユーロ圏の中央銀行である欧州中央銀行(ECB)が、原則として6週間に1回(2015年〜)の理事会で、そのときの経済状況から政策金利をはじめとする「金融政策」を決定し、発表することです。下旬に開催される2回目の理事会では金利を変更しない、と決めています。大きな変更があった場合にはマーケットに与える影響が大きいので、とても注目されています。