2019/11/19
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」11月18日号より抜粋
米個人消費の力は中国経済を凌ぐ
■ 堅調な米個人消費と低金利が株価を支える
先月、米FOMC(連邦公開市場委員会)が事実上の利下げ休止宣言をして以来、世界の株式市場は高値を刻み、長期金利は上昇しています。米10月小売売上高など、米個人消費の強さも世界的景気後退懸念を浄化、金利上昇を後押ししています。その米個人消費が世界のGDPに占めるシェアは約17%(2018年)、中国のGDPをも凌ぐ強力な需要創出マシンです。もっとも、こうした環境下であっても低迷する物価や高金利債としての米債需要等を背景に米長期金利は低下するとみています(本稿11月11日号4頁参照)。この長期金利の低下が、高値を刻む米株初め、世界の株高の原動力の一つになるとみています。
■ 崩れかける“中国第一の柱”
しかし、この見通しも来年以降は曲がり角に差し掛かるかも知れません。先週発表の中国10月経済指標(生産、小売、固定資産投資)は予想を下回り、景気回復の鈍さが鮮明になったためです。我々は当初より3つの柱、すなわち①中国政府のてこ入れによる景気の早期回復、②堅調な米個人消費、③世界的な金融緩和環境(低金利)が世界経済を支え、世界の株価を押し上げるとみていました。しかし既に出てきた中国の景気対策は皆小粒、政府はV字回復を促す投資喚起には慎重、不良債権の再拡大を避けたい意向です。第一の柱が崩れかけている様です。
年末にかけ開催される中国の経済工作会議(来年以降の経済運営を議論)では、2020年の成長率目標が決められます。来年初にかけ、この目標値は市場で漏れ聞かれることになるでしょう。来年は米国よりもむしろ、中国の景気減速に市場参加者の関心が向かいそうです。(徳岡)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
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注)(日)日本、(米)米国、(欧)ユーロ圏、
(独)ドイツ、(中)中国、(他)その他、
を指します。
日程および内容は変更される可能性があります。
出所) 各種情報、Bloombergより当社経済調査室作成
注)MSCI WORLD、MSCI EMは現地通貨、S&P先進国REIT指数は米ドルベース。
原油は1バレル当たり、金は1オンス当たりの価格。
騰落幅、騰落率ともに2019年11月8日対比。
出所) MSCI、Bloombergより当社経済調査室作成
注)上記3図の直近値は2019年11月15日時点。
出所)Bloombergより当社経済調査室作成
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