2018/6/19
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」6月18日号より抜粋
先週は12日にシンガポールで米朝首脳会談が開催され北朝鮮の非核化が注目された他、13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)は追加利上げと政策金利見通しの上方修正、ガイダンス削除を決定、14日のECB(欧州中銀)理事会は年内に資産買入終了と来年夏までの政策金利据え置きを表明するなど政策発表が相次ぎました(15日の日銀金融政策決定会合は政策据え置き)。米10年国債利回りは13日に一時3%台をつけるも、定着せず週末には2.92%に低下しました。長期FF金利予想は2.9%で据え置かれており、市場は利上げ加速に傾いた訳ではないようです。
事前に金融当局より金融政策正常化が言及されたため、市場はECBの量的緩和終了を想定していたと考えられますが、少なくとも来年夏まで利上げをしないとの表明を受けユーロは下落、その結果為替市場はドル全面高となり一部の新興国通貨が下落しました。市場のリスク回避姿勢が強まれば円高に振れる可能性もありますが、寧ろ日本と米欧との金融政策の方向性の違いから円が弱含む傾向は強まりそうです。また、新興国は通貨が軟調のなか金融政策にも注目が集まります。
当面は米中貿易摩擦の過熱が市場の波乱要因になると考えられます。先週の米国株は貿易摩擦の警戒感からNYダウが軟調となった一方で、影響を受け難いとの見方からハイテク株が買われナスダック指数は過去最高値を更新するなど堅調でした。トランプ政権の保護貿易主義に対して6月8・9日のG7首脳会議で各国は修正を迫るもトランプ大統領は応じず、15日には中国からの輸入品500億ドルに制裁関税を承認しました。金融市場はトランプ政権が仕掛ける貿易戦争に対する警戒感が相場の重石となり、日本の株式市場も不安定な展開が想定されます。
◆米国:18日の6月NAHB住宅市場指数、19日の5月住宅着工件数、20日の5月中古住宅販売件数は高水準が維持され、住宅市場の堅調さが示される見込みです。21日の6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数も高水準となり、良好な米景気見通しを確認する事になりそうです。18日にウィリアムズ氏がダドリー氏の後任としてNY連銀総裁に就任、政策参謀として中立金利水準の議論等が注目です。
◆欧州:18〜20日のECBフォーラム(於ポルトガル)が注目されますが、ドラギECB総裁の講演で金融政策に関する新たな材料は期待できないとみています。
◆日本:20日に会期末を迎える通常国会は延長の公算大。22日の5月全国消費者物価は前年比が横ばいとなり、インフレ率の頭打ち感が意識される見込みです。
◆その他:金融政策決定会合は20日のフィリピン、21日のメキシコは利上げ予想、19日のブラジル、21日のスイス、ノルウェー、英国は変更がない見込みです。22日のOPEC総会は年末までとされる協調減産の行方が注目されます。(向吉)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
6/18(月) |
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(日)5月貿易収支(通関ベース、季調値) |
6/19(火) |
(米)ブラード・セントルイス連銀総裁 パネル討論 |
6/20(水) |
(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
6/21(木) |
(米)6月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 |
6/22(金) |
(日)5月 消費者物価(前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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