2018/04/10
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」4月9日号より抜粋
4月3日に米政府が通商法301条に基づき高関税を課す中国製品を公表すると、4日は中国が米国製品106品目について報復関税賦課を公表。すると5日はトランプ米大統領が中国製品1000億ドル対象の追加関税検討を指示するなど、両国の応酬が続き貿易摩擦懸念から市場はリスク回避の様相となりました。ただ、米政府要人から貿易戦争を否定する発言が伝わると米国株は反発し、ドル円相場も円安基調に転じる局面もありました。通商面での両国の対立は収束していないため当面は神経質な相場展開が想定されるも、過度な懸念が後退するのか注目されます。
こうしたなか円独歩高基調に変化の兆しがみられます。シカゴ通貨先物における投機筋の円売りポジションの巻き戻しの圧力は和らぎ、需給面で円高リスクは緩和しています。また、日銀の金融緩和縮小観測や政治リスクは一時期よりも後退しており、ドル円相場は円安ドル高への戻りを試す展開になりつつあります。他方、ドル円の上値を重くする材料は残っており、4月17-18日の日米首脳会談による米側の円安けん制、4月の内閣支持率低下によるリスク回避には要注意です。
3月第4週に海外投資家は現物取引で日本株を+48億円と小額ながらも12週ぶりに買い越しに転じており、円安・株高への期待は膨らんでいます。現在、日経平均の予想PERが12.69倍と低水準にあることから(P3図2右参照)、株価も戻りを試す展開が想定されます。日銀短観では大企業製造業の2018年度想定為替レートが1ドル=109.66円であるため、ドル円相場がこの水準に接近すれば買い安心感も出てくるでしょう。本格化する1-3月期企業決算に徐々に焦点は移る見込みです。
◆米国:10・11日の3月生産者物価、消費者物価は物価上昇率が加速する見通しです。特に消費者物価の前年比は総合が+2.4%(前月+2.2%)、コアが同+2.1%(同+1.8%)と2%を超えてくる見通しであり、今後の利上げペースの加速が意識されるでしょう。11日の3月20-21日開催のFOMC議事録はインフレに関する議論が注目され、利上げ観測が強まる可能性もあります。週末には、JPモルガン・チェース、シティグループなど今後本格化する1-3月期企業決算発表が注目です。
◆日本:9日に黒田日銀総裁の再任会見があり2期目(任期5年)がスタートし、当面大規模金融緩和の方針に変更はないとみられます。日銀短観では設備投資計画の底堅さが示されたため、11日の2月機械受注は前月比で減少するも堅調地合いは維持される見通しです。また、小売業を中心に2月期の企業決算発表が続くため、今後、今年度決算や来年度予想など企業業績への注目度が高まる見通しです。
◆その他:米中貿易摩擦問題が過熱する中、13日の3月中国貿易統計は対米黒字並びに輸出前年比が急増した2月+44.5%から+10%台に戻るのか注目されます。10日の3月ブラジル消費者物価は前年比+2%台で沈静化が示される見込み。同国の政策金利(現在6.50%)は次回5月0.25%下げで利下げ打ち止めの可能性。(向吉)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
4/9(月) |
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(日)黒田日銀総裁 再任会見(2期目) |
4/10(火) |
(米)カプラン・ダラス連銀総裁 講演 |
4/11(水) |
(日)2月 機械受注(船舶・電力除く民需、前月比) |
4/12(木) |
(米)カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 講演 |
4/13(金) |
(米)ローゼングレン・ボストン連銀総裁 講演 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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