2018/04/03
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」4月2日号より抜粋
先週の市場では日米独の株価が上昇。先々週22日の米政府による対中報復関税適用の方針公表とともに急落した株価は、ひとまず反発しました。ドル円相場は先週初に1ドル104円台半ばまで円高が進んだものの、先週29日には一時107円台まで反発し、円高による日本企業の業績悪化懸念は後退。米中貿易摩擦に関する目立った続報がなく、27日の日本の参議院での佐川前国税庁官の証人喚問が無難に終わったことなどを受けてリスク回避の動きはひとまず収束した模様です。北朝鮮の金総書記が電撃訪中を行い、同国が日本との首脳会談を模索とも報道される中で、朝鮮半島リスクへの警戒感も緩和し、市場心理を支えました。
しかし、米政権の貿易政策が市場を揺さぶるリスクは消えていません。先週28日には米政府が韓国との自由貿易協定を巡る交渉で合意。韓国製トラックへの米輸入関税撤廃期限の延長などと引換えに韓国は米国による鉄鋼・アルミ関税から除外されたものの、対米鉄鋼輸出量は過去3年平均の7割に抑えられました。付属文書では「不公正な通貨措置」を禁止。韓国当局によるドル買い介入は難しくなったとみられます。今週は米財務省による半期の為替報告書が公表される可能性があり、中国や韓国による為替介入や日本の経常黒字や非関税障壁に関する記述等が注目されます。また、今週6日までにUSTR(米国通商代表部)が中国への制裁関税対象の詳細を公表予定。米中貿易摩擦懸念が再燃する可能性も無視できません。
週末の31日公表の中国の3月のPMI(政府)は、製造業が51.5(前月:50.3)、非製造業が54.6(同:54.4)と堅調。主要国の景気は底堅く、日米の政治不安や米国の貿易政策を巡る不透明感が再浮上しなければ、今週も堅調な相場となるでしょう。
◆米国:今週も米景気の好調さが確認され、金融政策の正常化への確信を高めるでしょう。2日のISM製造業景気指数(3月)は60.0と、1987年以来の高水準となった前月の60.8より鈍化しつつ好調な企業活動を示唆する見込みです。6日の雇用統計(3月)では、非農業部門雇用者数が前月比+18.9万人と急伸した前月(+31.3万人)より低下しつつ好調に伸びるでしょう。平均時給の前年比は+2.7%と前月の+2.6%よりやや上昇し、好調な雇用環境の下での賃金上昇圧力が確認されるとみられます。今週も金融当局者の講演が多数。とりわけ6日の雇用統計の公表直後に行われるパウエルFRB議長の講演における景気物価動向の認識に注目が集まります。
◆インド:2月の総合消費者物価が前年比+4.4%と12月に+5.2%まで上昇した後に沈静化したものの、今後はベース効果もあり再び上昇する見通し。5日の金融政策会合では政策金利を6%に据置き政策スタンスを中立に保ち、インフレ警戒的な声明を公表か。農産物の最低支持価格(MSP)引上げ幅が当面の注目点。
◆ブラジル:足元では自動車生産台数などの伸びが鈍化しており、3日の鉱工業生産(2月)は前年比+4.0%と前月の+5.7%より低下すると予想されます。(入村)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
4/1(日) |
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(米)米韓合同軍事演習開始 |
4/2(月) |
(日)日銀短観(3月調査) |
4/3(火) |
(米)ブレイナードFRB理事 講演 |
4/4(水) |
(米)ブラード・セントルイス連銀総裁 講演 |
4/5(木) |
(米)ボスティック・アトランタ連銀総裁 講演 |
4/6(金) |
(日)2月 家計調査(実質消費支出、前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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