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2018/02/27
提供：三菱UFJ国際投信

先週は主要株価が上昇するとともに、米ドルがユーロや円に対して上昇
先週公表の米FOMC議事録では利上げ加速は議論されなかったものの、景気が予想以上に強いことを確認
今週はパウエルFRB議長の議会証言が最大の注目点。タカ派化もハト派化もしていない無難な発言に終始か

荒武　秀至氏　三菱UFJ国際投信（株）戦略運用部チーフエコノミスト
1987年慶應義塾大学卒業後、証券会社エコノミストとして経済調査担当。1992年シンガポール国立大学にて経営学修士（MBA）取得。1995年国際投信委託（現三菱UFJ国際投信）入社、2002年1月より現職。一次データ及び現地調査を柱とする経済調査に20年以上専心。IMF・世界銀行、米欧の中央銀行・財務省等との定例情報交換に加え、新興国の現地調査を踏まえた、グローバル経済の詳細で平易な解説に定評がある。

「投資環境ウィークリー」2月26日号より抜粋

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先週の市場では日米独の主要株価が上昇。米10年債利回りは小幅に低下する一方、米ドルがユーロ、円、豪ドル、英ポンドなどに対して上昇しました。
先週最大の注目点であった米FOMC議事録(2月21日公表、1月30･31日分)では、(1)利上げ速度の加速の可能性は議論されなかったこと、(2)景気は予想以上に強く当面利上げを続けることで合意されたことが判明。市場は議事録公表直後は(1)を歓迎し株高ドル安に振れたものの、その後は(2)を意識して株安ドル高へと転じるなど値動きの荒い展開となり、米10年債利回りは2.951%と前日の2.890%より上昇しました。1月のFOMC声明は、政策金利の更なる穏やかな引上げを正当化と、前回見られなかった｢更なる｣を追加。これが今年3回という利上げ回数(FOMC参加者による予想分布図の中央値)の引上げを意味するのかが注目されたものの、議事録ではこうした議論はなかったことが判明しました。米景気が12月会合時点の見通し以上に上振れており今後は物価の上昇が期待されるものの、未だに賃金や物価に上昇基調は確認できず、利上げ加速の要否は議論されなかった模様です。
今週は、パウエル米FRB議長の議会証言(27日:下院、1日:上院)が最大の注目点です。1月のFOMC以降には米平均時給の上昇(前年比、12月:+2.7%→1月:+2.9%)やコア消費者物価の横ばい(同、+1.8%→+1.8%)が確認され、政治面では2月上旬の予算合意で政府閉鎖のリスクが消え、インフラ投資計画も発表されました。
政治経済面では利上げ加速の連想が働くものの、金融市場では2月2日の雇用統計以降に世界的に株安が進展。1月のFOMC時点の｢米長期金利の上昇は株高やドル安で相殺されている｣という状況は変化しています。同議長は、景気は堅調だがインフレ加速の兆候はないため利上げ加速の必要はなく、金融市場は一時動揺したが利上げを妨げるほどではないと、タカ派化もハト派化もしていないことを示すであろうものの、タカ派化を恐れる市場が過剰に反応するリスクは残ります。

◆欧州：28日のユーロ圏消費者物価(2月)は前年比+1.2%と前月(+1.3%)より低下か。
◆中国：28日の政府の製造業PMI(2月)は51.2と前月の51.3と小幅に低下しつつ景気拡大の持続を示唆か。春節の後ずれに伴って製造業の活動は一時的に鈍化。
◆インド：28日の10-12月期GDPは前年比+6.9%と前期の+6.3%より回復の見込み。2016年11月の高額紙幣廃貨や2017年7月の物品サービス税(GST)導入などの相次ぐショックで下押しされた景気は、GST導入に伴う混乱の収束に伴って徐々に正常化しており、足元では商用車や二輪車の販売、銀行貸出の伸びが回復中。
◆その他：北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉会合(第7回)は2月25日～3月5日開催。参加3カ国は前回1月の会合で交渉継続を確約しており、仮に今回の交渉で大きな進展がなくともNAFTA崩壊の懸念は浮上しない見通し。もし、今回主要な争点で進展があれば、貿易戦争懸念の後退でメキシコ･ペソが上昇か。（入村）

今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール

2/25（日）
（米）NAFTA（北米自由貿易協定）第7回会合（～3月5日）
2/26（月）
（米）ブラード・セントルイス連銀総裁講演（米）1月新築住宅販売件数（年率） 12月：62.5万件、1月：（予）64.8万件（独）CDU（メルケル首相率いる）党大会連立協定採決
2/27（火）
（米）パウエルFRB議長議会証言（下院金融サービス委員会）（米）イエレン前FRB議長とバーナンキ元FRB議長会談（米）12月 S&P コアロジック/ケース･シラー住宅価格指数（20大都市、前月比） 11月：+0.75%、12月：（予）+0.60% （米）1月耐久財受注（航空除く非国防資本財、前月比） 12月：▲0.6%、1月：（予）+0.5% （米）2月消費者信頼感指数（コンファレンス・ボード） 1月：125.4、2月：（予）126.4 （他）韓国　金融政策決定会合 7日間レポレート：1.5%⇒（予）1.5%
2/28（水）
（日）1月鉱工業生産（速報、前月比） 12月：+2.9%、1月：（予）▲4.0% （米）10-12月期実質GDP（改定値、前期比年率） 7-9月期：+3.2% 10-12月期：（予）+2.5%（速報値：+2.6%）（米）1月中古住宅販売仮契約指数（前月比） 12月：+0.5%、1月：（予）+0.5% （米）2月シカゴ購買部協会景気指数 1月：65.7、2月：（予）64.6 （欧）2月消費者物価（速報、前年比） 1月：+1.3%、2月：（予）+1.2% （中）2月製造業PMI（国家統計局） 1月：51.3、2月：（予）51.2 （印）10-12月期実質GDP（前年比） 7-9月期：+6.3%、10-12月期：（予）+6.9%
3/1（木）
（日）片岡日銀審議委員講演・記者会見（日）10-12月期法人企業統計調査（設備投資、前年比） 7-9月期：+4.2% 10-12月期：（予）+3.0% （米）パウエルFRB議長議会証言（上院銀行委員会）（米）1月個人所得・消費（前月比）所得　12月：+0.4%、1月：（予）+0.3% 消費　12月：+0.4%、1月：（予）+0.2% （米）2月米供給管理協会（ISM）製造業景気指数 1月：59.1、2月：（予）58.7 （中）2月財新製造業PMI 1月：51.5、2月：（予）51.3 （伯）10-12月期実質GDP（前年比） 7-9月期：+1.4% 10-12月期：（予）+2.5%
3/2（金）
（日）1月家計調査（実質消費支出、前年比） 12月：▲0.1%、1月：（予）▲0.5% （日）1月完全失業率 12月：2.8%、1月：（予）2.8% （日）1月有効求人倍率 12月：1.59、1月：（予）1.60 （米）2月ミシガン大学消費者信頼感指数（確報） 1月：95.7、2月：（予）99.5（速報値：99.9）

注）上記の日程及び内容は変更される可能性があります。

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