2018/02/06
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」2月5日号より抜粋
■長期金利上昇への警戒感が高まった一週間
先週の市場では世界的な長期金利上昇が嫌気され主要国株式市場は軒並み軟調、週間騰落率はNYダウ▲4.1%、独DAX®▲4.2%、日経平均は▲1.5%でした。2日の米1月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月差+20万人と堅調、平均時給も前年比+2.9%と9年振りの伸びを示したことで長期金利上昇に拍車が掛かりました。
■米長期金利が正しいか、短期金利が正しいか?
先週、イエレンFRB(連邦準備理事会)議長最後の米FOMC声明文では、大方の予想とおり①物価見通しを一歩前進、②一段と漸進的な金融緩和解除と、2点が変更されました。しかしその後の市場、特に短期金利の反応は不可解です。今年に入り0.4%pts超も長期金利(10年国債利回り)は上昇した一方、短期金利が示唆する今年の利上げ回数(1年後1ヵ月金利‐レポ金利)は足元2.8回、先月中旬に3回超となる場面があるも、短期金利の予測は長期金利に比べ驚くほど慎重です。FRBは今年の利上げ回数を目下3回(昨年12月時点)と見積もっています。この長期金利の上昇と短期金利が示唆する利上げ回数の織り込みは過去高い相関があるも足元両者の関係は崩れています。長期金利急騰要因としては、原油価格上昇を背景とした期待インフレ率上昇や先週の米財務省国債発行計画等が挙げられますが、それにしても上昇ペースは速い、両者はどちらに収斂するのでしょうか。
■パウエルFRB新議長は利上げ慎重派という仮説 − 議長の最初の情報発信は現下の金利上昇局面を反転させる可能性も
その答えはパウエルFRB新議長の手中にあり、長期金利は需給要因を消化後3.0%手前で低下する可能性もあるとみています。新議長は昨年、並み居るタカ派の学者らを抑え議長指名レースに勝利、税制改革断行など強力なリフレ派の米トランプ大統領の意を相当汲んでいるとも想定できます。また目下景気好調にも関わらず「一段と」の文言をあえて加えた今回の声明文は、経済の過熱を容認(≒利上げせず)しインフレ醸成を促す「高圧経済」(イエレンFRB前議長が提唱)政策への布石と捉えることも可能です。今年の利上げペースは3回程度に留まると同議長自ら強力なフォワード・ガイダンス(将来の金融政策指針)を発信すれば長期金利は低下に転じ米株は一段高、ドル回帰を促す可能性すらありそうです。
◆冬季五輪:9-25日に韓国平昌五輪が、同時に日韓首脳会談(9日)も開催予定です。
◆米国:暫定予算期限を8日に控えます。下院は3/23迄の延長案を提出の予定です。ドル円の材料としては6日の12月貿易赤字(市場予想$▲520億)にも注目です。
◆中国:1月財新サービス業PMI(5日)、1月貿易収支(8日)等に注目です。
◆中央銀行:豪州(6日)ほか10中銀が金融政策決定会合を開催します。注目は共に0.25%利下げ予想のブラジル(現7.0%)とロシア(同7.75%)です。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
2/3(土) |
---|
(米)イエレンFRB議長 退任 |
2/5(月) |
(米)パウエル新FRB議長 就任宣誓式 |
2/6(火) |
(米)12月 貿易収支(通関ベース) |
2/7(水) |
(日)12月 現金給与総額(前年比) |
2/8(木) |
(日)12月 経常収支(季調値) |
2/9(金) |
(日)12月 第3次産業活動指数(前月比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
当資料に関してご留意頂きたい事項
- 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の三菱UFJ国際投信経済調査部の見解です。また、三菱UFJ国際投信が設定・運用するファンドにおける投資判断がこれらの見解に基づくものとは限りません。
- 当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。