2018/01/30
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」1月29日号より抜粋
先週の市場では米ドル安が進展。対米ドルで円は2.0%、ユーロは1.7%上昇しました。1月第2週に進んだドル安の動きは第3週にひとまず収束した後、先週に再燃。第2週のドル安は日銀やECB(欧州中央銀行)による金融緩和解除の思惑による一方、先週のドル安は、米為替政策を巡る観測によります。先週24日、ムニューシン米財務長官は米ドル安は米経済に好ましいと発言。伝統的なドル高政策の否定に市場は驚きドル安が進展、ドル円相場は米国時間25日に一時108円台半ばまで下落しました。その後、ロス米商務長官が強いドル政策を転換していないと発言し、トランプ米大統領も25日に最終的には強いドルを望むと発言。同発言を受けてドル円相場は109円台後半まで値を戻すなど大きく動きました。
先週は日欧が金融政策会合を開催。黒田日銀総裁は今月9日の長期国債買入減額を契機に広まった日銀の「タカ派化論」を一蹴しました。ドラギECB総裁は12月のECB理事会議事要旨で話題となったフォワードガイダンスの変更は議論もなかったとコメント。足元のユーロ高をけん制するとともに米財務長官発言を暗に批判するなど、自国通貨高への警戒感を表明しました。先週の株式市場では、NYダウが2.1%上昇した一方、日経平均は0.7%下落。昨年9月初より円高局面でも上昇を続けるなど「ドル円相場離れ」をしてきたかに見えた日本株も、企業想定レートの1ドル110円を超えて円高が急進する局面では下押しされた模様です。
今月22日に米政権が発動した太陽光パネルと大型洗濯機へのセイフガード措置も保護貿易とドル安志向の連想を呼びました。しかし、米大統領は先週26日に条件付きでTPPへの復帰の可能性に言及、保護主義への懸念はひとまず後退しました。今週の市場は再び主要国の景気物価動向に関心が向かうでしょう。
◆米国:2日の雇用統計(1月)では、非農業部門雇用者増減が+18.0万人と前月の+14.8万人を上回る一方、失業率は4.1%と同月と同水準、平均時給は前年比+2.6%と前月の+2.5%を上回るでしょう。同給与が上振れれば賃金上昇圧力の高まりの連想からドル高、長期金利上昇を招くとみられます。1日のISM製造業景気指数(1月)は58.6と前月の59.3に続き高水準となり、堅調な景気拡大が意識されるでしょう。30-31日の米FOMCはイエレン議長最後の会合。記者会見もなく、市場参加者の多くが政策据置きを予想しており、無風のイベントに終わると予想されます。
◆欧州:31日のユーロ圏消費者物価の前年比(1月)は総合が+1.3%(前月:+1.4%)と鈍化する一方、コアが+1.0%(同:+0.9%)と小幅に上昇する見込みです。
◆中国:31日の政府の製造業PMI(1月)は51.5と前月の51.6より小幅に低下しつつ、堅調な景気拡大を示唆するでしょう。年初より国内商品市況は高値で安定し、火力発電所の石炭消費量も底堅く伸長。冬季の環境規制強化による下押し圧力は、好調な輸出や堅調な家計消費によって和らげられている模様です。(入村)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
1/29(月) |
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(米)12月 個人所得・消費(前月比) |
1/30(火) |
(米)連邦公開市場委員会(FOMC)(〜31日) |
1/31(水) |
(日)日銀金融政策決定会合 主な意見 |
2/1(木) |
(米)1月 米供給管理協会(ISM)製造業景気指数 |
2/2(金) |
(米)1月 雇用統計 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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