2018/01/09
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」1月9日号より抜粋
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
2017年、金融市場の主役は新興国と言えました。米国の利上げが続き、北朝鮮・中東情勢緊迫化といった地政学リスクにさらされながらも、世界的な景気拡大の流れに支えられ株式・債券・通貨ともに堅調でした。2018年も世界的に景気は拡大基調が続くとみますが、構造改革圧力による中国景気減速、金融引き締めの動きが広がるリスクなどを考慮すると、新興国の選別色が強まる展開が予想されます。
◆日本:直近2017年11月の鉱工業生産で基調判断を上方修正するなど景気は良好です。一方、個人消費は物価上昇(同月の消費者物価(総合)は前年比+0.6%)もあり低調なままです。9日の毎月勤労統計(同年11月)では実質賃金が前年比+0.1%と低迷続くなか、3月14日が集中回答日の2018年春闘に向け賃上げの動向(定期昇給分含め、安倍首相は前年比+3%要請、連合は同+4%要求)に注目です。
◆米国:12日の小売売上高(2017年12月)では個人消費の堅調さ、今週から本格化する主要企業決算(同年10-12月期)発表では強気の業績見通しが確認される見込みです(直近のS&P500の2018年予想EPSは前年比+16.6%)。12日の消費者物価(同年12月)では、総合(11月の前年比+2.2%)に続き、低迷する食品・エネルギー除くコア(同+1.7%)が上向きの兆しを見せれば金利上昇要因となりえます。
◆ユーロ圏:直近2017年12月の消費者物価(総合)は前年比+1.4%と低迷、ECB(欧州中銀)の慎重な金融緩和解除方針は変わらない見通しです。ただし、ドイツが同+1.6%、イタリアが同+1.0%など国別で温度差もあり、足元の原油高を受け当局内で徐々に見方が割れる懸念もあります。12・13日のチェコ大統領選挙は、EU(欧州連合)の難民受け入れ方針に反対するゼマン大統領の再選が濃厚です。
◆中国:直近2017年12月のPMIは国家統計局(製造業51.6、非製造業55.0)、財新(製造業51.5、サービス業53.9)ともに安定、中国景気減速への警戒感を和らげる内容でした。ただし、過剰設備削減や環境規制強化による生産下押し圧力が残るなか、12日の貿易統計(同年12月)で輸出入の減速が確認されれば、昨年12月から続く原油や銅など工業金属価格上昇が鈍化、資源国通貨高一服を見込みます。
◆原油:冬場の暖房油需要増加という季節要因に加え、昨年12月にはイエメンを巡る軍事的緊張、トランプ大統領によるエルサレムの首都認定などもあり中東情勢が混迷の度合いを強めたことで供給不安が浮上、昨年12月以降、原油価格は上昇ピッチを速めました。原油高は各国総合インフレ率の押し上げ要因となるため、当局の政策姿勢を金融引き締めへ傾斜させる可能性もあり要注意です。(瀧澤)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
1/9(火) |
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(日)11月 現金給与総額(前年比) |
1/10(水) |
(米)12月 輸出入物価(輸入、前月比) |
1/11(木) |
(米)ダドリー・ニューヨーク連銀総裁 講演 |
1/12(金) |
(米)12月 小売売上高(前月比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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