2017/12/26
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」12月25日号より抜粋
先週の市場は、日米株価や米10年債利回りが上昇するなどリスク選好的な相場となりました。先週20日、米上下院は調整の上一本化した税制改革法案を可決。22日のトランプ大統領による署名を経て同改革が実現しました。法人税の恒久減税と個人所得税の時限付減税(2025年まで)等からなる減税策による財政赤字増加は今後10年間で1.5兆ドル。設備投資の即時償却措置なども加わり企業投資の押上げが期待されます。現地エコノミストは一連の措置により2018年の経済成長率は+0.2-0.4%ポイント押上げられると試算。経済構造の改善による潜在成長力の強化は期待できないものの、一時的な景気押上げ効果は無視できません。
先週20-21日の日銀政策会合は市場予想通り現行政策の維持を決定。黒田総裁の会見では、同総裁が11月13日の講演で言及した「リバーサル・レート」(過度な金融緩和による金融仲介機能の阻害等)に質問が集中するも、同総裁は「金利操作見直しを意味しない」と市場に広まった金利引上げの布石との憶測を一蹴。先週円は対ドルで▲0.6%下落しました。先週は米10年債利回りが2.482%と前週の2.354%より上昇。ドイツが来年の30年債増発を公表し同国債利回りが上昇する中で米長期金利も上昇。米国債利回り曲線の平坦化を見込んだ取引が解消された模様です。
米長期金利が上昇する中でも米ドルの名目実効相場は下落しており、加ドル、豪ドル、ユーロ、英ポンドなど多くの先進国通貨が対米ドルで上昇しました。
景気拡大が続き失業率が低下する中でも賃金やコア物価が上昇しない中、米FRBは利上げを急がない構えであり、今後もリスク資産には居心地のいい環境が続くとみられます。しかし、これまで落着いてきたインフレが上昇を始めれば景色は一変するはずであり、来年初より市場は米減税の効果を見極めようとするでしょう。欧州では、イタリアやドイツの政治情勢が注目を集めると予想されます。
◆米国:3日のFOMC議事録(12月12-13日開催分)は、FRB議長会見もあったため大きなサプライズは見込まれず。注目点は、税制改革の経済成長への影響や低失業率下の低インフレを巡る議論です。3日のISM製造業景気指数(12月)は58.2と前月と同水準の好調な水準と予想。11月の新規受注や生産は加速しており、12月も同部門の勢いは持続した模様です。5日の雇用統計(12月)では、非農業部門雇用者増減数は+18.5万人と前月の+22.8万人を下回りつつ好調で、失業率は4.1%と前月と変わらず、平均時給の前年比は+2.5%と前月と同率になる見込みです。
◆中国:31日の政府の製造業PMI(12月)は51.7と前月の51.8に続き堅調で、同部門の底堅さを確認する見込み。大気汚染が深刻化する冬季には環境規制が強化され金属など素材産業や鉱業の生産が下押しされる一方、最終製品の製造部門は底堅い家計消費や好調な輸出を追い風に拡大を続けると予想されます。(入村)
※本年もお世話になりました。良い年をお迎え下さい。新年号は1月9日号です。
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
12/25(月) |
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(米)クリスマス(祝日) |
12/26(火) |
(日)黒田日銀総裁 講演 |
12/27(水) |
(米)11月 中古住宅販売仮契約指数(前月比) |
12/28(木) |
(日)日銀金融政策決定会合主な意見 |
12/31(日) |
(中)12月 製造業PMI(国家統計局) |
1/2(火) |
(中)12月 製造業PMI(マークイット) |
1/3(水) |
(米)FOMC議事録(12月12〜13日開催分) |
1/4(木) |
(米)12月 ADP雇用統計 |
1/5(金) |
(米)12月 雇用統計 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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