2017/12/19
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」12月18日号より抜粋
先週のマーケットは、3大需要国(中・独・米)の生産や景況感の底堅さを好感した銅(週間騰落率:+5.2%)や、石炭(同+2.5%)といった資源(先物)価格とその採掘国通貨のチリペソ(同+3.0%)や豪ドル(同+1.8%)、ラマポーザ現副大統領の与党党首選勝利が確実視された南ア・ランド(同+4.2%)が上昇、米両院協議会で上下院税制改革案を一本化し今週両院採決の見込みの米・NYダウ(同+1.3%)やEU(欧州連合)離脱に向け通商交渉へ道を開いた英国株(同+1.3%)がこれに続き上昇、前週軟調だったこれら商品が概ね反発した格好となりました。
■2017年は先進国の他、新興国のトリッキーな金融政策運営がリスク資産に寄与
2017年初来の資産別騰落率を概観すると、株式「NYダウ>中国(CSI300)>日本(TOPIX)>独DAX®」、国債「米>独>日本」、クレジット「ドル建て新興国債>米低格付債>欧州低格付債」、通貨「ユーロ>豪ドル>人民元>日本円>ドルインデックス」、資源先物「銅>金>WTI原油>石炭>鉄鉱石」(5頁図1参照)でした。トランプ氏の米大統領就任で世界が驚愕したのを皮切りに北朝鮮情勢など地政学リスクも高まる場面もあったものの、世界的に景気は拡大、インフレは低迷を続け、年初の大方の予想を裏切りほぼ一貫して米株高、ドル安が進行しました。その最大の背景は金融政策、日欧中心に緩和姿勢は継続、米国も極めて慎重な正常化を進め、新興国も景気刺激を意図して金融引締めを後ずらししてきました。
■2018年は新興国でも引締めサイクルに入る国が増加
しかし、既に世界各国の金融政策の姿勢にも変化が出始めています。2018年、金融引締めは米国に留まらず、北米ではカナダとメキシコ、アジア太平洋ではマレーシアとフィリピン、或いは韓国、台湾、豪州及びニュージーランド、欧州ではチェコやルーマニアやトルコ、そして通貨先安感が根強い英国と、金融環境を引締める国が増加する見込みです。2018年の世界の金融政策は世界的低インフレを背景に景気刺激を可能にした政策運営からの転換、「インフレ」を主軸テーマに金融市場は動くとみています。中でも注目は中国景気と資源需要動向、世界のインフレに大きなインパクトを与える資源価格は中国抜きには語れないためです。
そして2018年は「政治」にも注目です。米中間選挙(11月)の他、新興国ではロシア(3月)、メキシコ(7月)、ブラジル(10月)などで首長選を控えます。政治内向化が進む米国のドル安志向への対応を誤れば資本流出を招きましょう。
2018年、世界景気を楽観視する前提の下、加速が予想されるインフレは金融環境を引締めると共に金利を持ち上げ、そして世界は米保護主義化を容認するムードが作られドル安進行と予想しています。米金融株の他、通貨高で新興国株はフローを集め、一方本邦株価は為替耐久力が試されるとみています。(徳岡)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
12/16(土) |
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(他)南アフリカ 与党ANC党大会(〜20日) |
12/18(月) |
(日)11月 貿易収支(通関ベース、季調値) |
12/19(火) |
(米)7-9月期 経常収支 |
12/20(水) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜21日) |
12/21(木) |
(日)黒田日銀総裁記者会見 |
12/22(金) |
(米)11月 耐久財受注 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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